担当者の話はそっちのけ。本社の一画で見た往年の名機たち
「COMPUTEX プチ」は、エルミタ現地取材班が「COMPUTEX TAIPEI 2023」会場内外で見つけた"小ネタ”を中心にお届けします。
取材最終日は、COMPUTEXメイン会場の「南港展覧館ホール1」(TaiNEX1)から一時離れ、
Cooler Master Technology(本社:台湾)の本社ビルへ。その中のワンフロアに、Cooler Masterの歴史に触れるミュージアム的なものが常設されていました。

元はサーバー用途など、いわゆるEmbedded向けの冷却機器を扱うメーカーだった同社は、いつしか自作PC向けコンシューマ製品の販売を開始します。とは言え、当時は「産業用からの流用」で、外装パッケージと言えば産業向け出荷用の「共通緑箱」のみ。製品名は識別できるシールが貼り付けられているだけで、マニュアルもありませんでした。
そして世界的な自作PCのブームを受け、コンシューマ向けにイチから企画した製品が、本業のCPUクーラーではなく総アルミニウム製PCケース
「ATCS」シリーズの
「ATC-100」でした。

掲示された年表によると「ATC-100」は1999年のデビュー。まずはシルバーとガンメタリックが用意され、バリエーションモデルとしてシャンパンゴールドなどもラインナップ。兄弟モデル
「ATC-200」等もリリースされ、Cooler Masterのブランドを広めたのは本業の冷却機器ではなく、PCケースだったワケです。
ちなみにエルミタージュ秋葉原の創刊は1997年なので、その2年後の出来事になります。当時の販売価格は4万円台後半。最近では「PCパーツは高い」という声をよく耳にしますが、その当時は今よりもはるかに高価でした。
一方の冷却機器は、相変わらず「共通緑箱」でSocket 370/Socket A用に
「DRACO」シリーズが登場。ヒット作
「風神」や、コンシューマ向けでは初のヒートパイプ採用クーラー
「GALILEO」がデビュー。年表では2000年に「WORLD'S 1ST CPU HEAT SINK WITH HEAT PIPES」と記されています。なお「風神」や「GALILEO」は日本国内市場だけの製品名で、当時は単なる型番のみだったはずです。

そして年表の下に、Cooler Masterを代表するPCケースの展示品を発見。左端が名機「ATC-100」(1999年)で、中央が
「Wave Master(TAC-T01)」(2003年)、そして右端が初代
「COSMOS」(2007年)です。なおヒートシンクの素材がアルミニウムであることから、PCケースの主素材はアルミニウム。ただしこの流れは、「Wave Master」頃まで。その後は加工がしやすいスチール素材が主流になっていきます。
※Cooler Master本社訪問記は、別途お届けする予定です。