単に“ジロー”と言うと、山盛りラーメンのお店を連想する人が多いかもしれません。しかしアキバや神田、神保町界隈で“ジロー”といえば、
「キッチンジロー」のこと。アキバでお馴染みの洋食屋さんとして親しまれてきた
「キッチンジロー外神田店」は、もう40年近く営業を続けているお店です。いまや食の激戦区になっているアキバですが、昔の外神田3丁目エリアで食べ物屋とくれば、ベンガルやじゃんがら、冨貴、サンボ、そして「キッチンジロー」くらいでした。
そんな「キッチンジロー」に関して、
悲しいニュースが飛び込んできたのは今月の初め。系列店の大量閉店が決まり、残念ながらアキバの「外神田店」も9月いっぱいで閉店することになりました。昔から長く通っていた身としては、居ても立っても居られず。早速遅めのお昼ごはんを食べに、立ち寄ることにしました。
今回お邪魔したのは閉店のニュースが流れてすぐのタイミングでしたが、早くも店内はそれを聞きつけた常連さんでほぼ満席状態。「しばらくこんな感じでしょうが、おそらく一番反響が大きいのはアキバでしょうね」とは店員さんの談です。
ちょうどうまい具合に空いていたカウンターの一席に座り、
「ハンバーグ・スタミナ焼き・帆立ミルクコロッケ」の“3品盛り”を注文することに。お値段は税込1,200円でした。
待つこと10分少々、大盛りライスとスープ(豚汁)、「ハンバーグ」メインの3品盛りがやってきます。やはりお店でパティを手作りする、名物のハンバーグ系は(個人的に)欠かせません。胡椒の効いたスタミナ焼きもご飯がすすむ味わいで、アツアツの帆立ミルクコロッケが、これまた美味。もうすぐアキバでこの味が食べられなくなるなんて、考えたこともありませんでした。
ちなみに店員さんいわく、新型コロナウイルスの感染拡大が始まってからは、お客さんがかつての半分まで減っていたそうです。緊急事態宣言時の自粛期間に一ヶ月ほどお店を閉めていた影響もあるでしょう、「どうにかここまで頑張ってきたんですが…」と残念そうでした。
同様に、多くの常連さんが帰り際に昔を懐かしむような会話を交わしているのが印象的で、それだけこのお店が愛されてきたんだなぁと実感。昨今は飲食業界全体が厳しい状況になっていますが、店員さんたちが「もうちょい前にこんな感じだと嬉しかったね」と話しているのを聞くと、切ない感じがしました。
そんな「キッチンジロー外神田店」は、9月30日(水)までの営業。東京エリアでは「九段下店」が営業を続けることになっていますが、アキバではもう少しで食べ納めになります。世間が再び元気になったら、またアキバに戻ってきてほしいですね。