今回オンラインインタビューに応じてくれたのは、サイコムのプロダクトマネージャー山田 正太郎氏。Asetek協力のもと、2013年に登場したNVIDIA GeForce GTX 680の水冷モデル
「G-Master Hydro-GK」を皮切りに、その後全ての
「G-Master Hydro」シリーズを手掛けたまさにキーマンとなる人物だ。
| これまで同様、GeForce RTX 30シリーズの水冷化でも中心となり指揮を取った、サイコムのプロダクトマネージャー山田 正太郎氏 |
早速ですがNVIDIA GeForce RTX 30シリーズの水冷化に取り組み始めたのはいつ頃からなのでしょうか。
昨年9月にNVIDIAから
製品発表が行われた時点で、注目されるということは予想していました。そのためGeForce RTX 3080の
発売開始とほぼ同時にプロジェクトをスタートしています。
まずはじめに行ったことはなんでしょうか。
GeForce RTX 3090やGeForce RTX 3080では、TGPが300Wを超えたこともあり、ブロワーファンモデルがほぼ存在せず、3連ファンクーラーを採用したものが主流です。そこで、さまざまなメーカーの製品を取り寄せて分解し、ウォーターブロックが取り付けられるかをチェックしました。
これまでサイコムでは、基本的にブロワーファンモデルを採用していましたが、水冷化が簡単ということですか。
ブロワーファンモデルはメーカーごとの違いが少なく、構造も比較的単純です。またこれまでのノウハウも蓄積しているため水冷化へのハードルは低いです。
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| GeForce RTX 20シリーズまでは、ブロワーファンモデルをベースにしていたサイコム。ただし、GeForce RTX 3090/3080では発熱の問題でブロワーファンモデルはほとんど存在していない。そこで、3連ファンクーラーモデルを使用することにしたという | |
最終的に製品を選択した理由を教えて下さい。
GeForce RTX 3090/3080で主流の3連ファンクーラー搭載モデルの場合、ヒートシンクの形状によってウォーターブロックが装着できる製品と、できない製品が明確に分かれます。実際、ASUSやGIGABYTE、MSIの製品もチェックしましたが、検証した中で最も干渉が少なくしっくり来た製品を選択しました。それでも、ヒートシンクやカバーの加工は必要なため、ブロワーファンモデルに比べると確実に手間は増えています。
グラフィックスカードの選定が終了したところで、これまで使用してきたAsetek「740GN」でも動作チェックはしているのでしょうか。
もちろんチェックしています。ただし、負荷をかけると90℃近くまでGPUの温度が上昇し、GeForce RTX 3090/3080に対して120mmラジエターは現実的ではないと判断しました。
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| 120mmラジエターを採用するAsetek「740GN」でももちろんチェックは実施したものの、冷却性能が不足してしまった | |
そこでAsetekに新型の水冷ユニットを依頼したということですね。
はい。Asetekには、弊社以外のメーカーからも
GeForce RTX 3090/3080を120mmラジエターで冷却するのは難しいという声が複数寄せられていたようですが、240mmラジエターを採用する
「Hybrid GFX 240mm LCS」の製造を依頼したのは、おそらく弊社が初だと思います。
ラジエターサイズ以外に違いはありますか。
ポンプユニットは同じですが、チューブは見た目もよく丈夫なスリーブに変更しました。また搭載するファンが2基になるため、ファンコネクタの電圧を上げて安定して動作するよう要望を出しました。
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| 「Hybrid GFX 240mm LCS」では、ラジエターだけでなく、チューブやファンコネクタにも注文をつけているという | |
Asetekからサンプルが送られてくるまでどの程度かかりましたか。
2ヶ月ぐらいだったと思います。その後騒音値などを徹底的にチェックしました。「G-Master Hydro」はサイコムの目玉商品で、さらにGeForce RTX 3090/3080は毎日のように問い合わせが来ていた注目アイテムです。そのため、時間はかかってもいいからしっかり検証をして、納得した上で製品化することを決めました。
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| Asetekでもサイコムの独自性を評価。メーカーサイトでは国内で唯一GeForce RTX 30シリーズの水冷モデルを紹介している | サンプルが届いてからは毎日のように防音設備の整ったスタジオに通い、ノイズや冷却性能をチェックしていたという |