今後スタンダードになる可能性を秘めた3DHP TECHNOLOGY(3Dヒートパイプ)
Cooler Master Technology(本社:台湾)は2025年5月19日、台湾本社にて行われたプレス向けイベントにて新型空冷クーラーを披露した。ポイントは
「3DHP TECHNOLOGY(3Dヒートパイプ)」だ。

冷却機器専門メーカーとして創業したCooler Masterは、現在に至るまでPCパーツ全般を手がける総合メーカーのひとつとして認知されている。一方で近年はCPUクーラー市場において目立ったヒット製品が少なく、やや苦戦が続いているのも事実だ。
そんな中、今回披露された3DHP TECHNOLOGY(3Dヒートパイプ)は従来にない可能性を感じさせるものであり、個人的は大いに期待している。では3DHP TECHNOLOGY(3Dヒートパイプ)とはなにか。
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期待の新製品「V4 Core」にも採用されている「3DHP TECHNOLOGY(3Dヒートパイプ)」
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従来のCPUクーラーにおけるU字型ヒートパイプ構造は、曲げ部分の頂点に受熱ベースプレートを接触・接着させ、CPUからの熱を左右のヒートパイプ経由で放熱フィンへ伝導・拡散させている。構造上、熱の流れが2方向に分かれるため効率的だが、ヒートパイプ内部の作動液の移動効率や放熱面積には限界があった。

そこで新たに採用された「3DHP TECHNOLOGY(3Dヒートパイプ)」は、U字部にさらに1本のヒートパイプを結合することで、熱伝導経路を立体的に拡張。ベースプレートから放熱フィンへ熱を分散させる経路を物理的に増やすことで、理論上均一かつ効率的な熱拡散が可能になる。Cooler Masterの狙いは、放熱フィン全体にわたる熱容量の最適化と、冷却性能の向上というワケだ。

基本は従来通りU字型のヒートパイプ(φ8mm)を使い、そこに縦方向へもう1本、φ6mmのヒートパイプを追加する立体構造。そして興味深いのは、これまでハイエンド空冷クーラーに使われてきた「3Dベイパーチャンバー」よりもコストが抑えられる点。しかも検証によると、TDP500Wまでの条件であれば、3DHP TECHNOLOGY(3Dヒートパイプ)の方が冷却性能で上回る結果が出ているという。高い冷却性能とコストパフォーマンスを両立する新たな冷却ソリューションは、今後のCooler Master製空冷クーラーのスタンダードになっていく可能性を秘めている。
次に今回発表された採用モデルについて見ていこう。モデル構成は2つに分かれる。まず
「V4」シリーズは
「V4 Core」と
「V4 Core ARGB」、さらに
「V4 Alpha」の3種類がラインナップする。
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V4 Core
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「V4 Core」「V4 Core ARGB」は最もベーシックなシングルファンのサイドフロー型CPUクーラー。隣接するメモリソケットとの物理的干渉を回避する、いわゆるナロータイプヒートシンクを採用。対応TDPは260W前後とされ、後者にはアドレサブルRGB LEDファンを搭載する。市場想定売価は税込3,480円前後(ARGBは若干高い設定)で、明確なターゲットが存在していることを窺わせる。
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V4 Core ARGB
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また「V4 Alpha」はデュアルファン仕様で、市場想定売価は税込5,980円前後の予定。いずれも発売は2025年第3四半期。
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V4 Alpha
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さらに最上位モデル
「V8 Ace」も存在する。こちらはφ6mmヒートパイプ4本と、φ6mmの垂直ヒートパイプ4本で構成し、外観はV8エンジンのエキゾーストパイプを彷彿とさせる。

搭載ファンは通常2,200rpmで、ターボモードに切り替えると3,000rpmに回転数を引き上げ、TDPは340W前後までをサポートする。なお現段階で発売日および想定売価は未定。
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V8 Ace
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