ヒントは日常にある
AZZA Technologies(本社:アメリカ カリフォルニア州)を覚えているだろう。およそPCケースとはかけ離れたカタチをPCケースにしてしまうことで、自作PC業界でも特異なメーカーとして認知されている。
最も印象的なのはピラミッド型PCケース
「PYRAMID」シリーズだろう。2020年12月より国内市場で正規流通品が販売された二等辺三角形のミドルタワー(?)で、かの有名なギザのピラミッドよりも傾斜がきつく、全高は585mmにもおよぶ。大ヒットしたかはともかく、2022年3月には空中に浮いた状態で設置できるATX対応のキューブ型PCケース
「REGIS」も市販化された。まさに今目の前にあるという読者もいるのではないだろうか。
そして今年のCOMPUTEXに持ち込んだのが
「Puzzle」だ。まずは先入観なしにじっくりその外観をご覧いたこう。

どうにか説明するならば、大きく分けて3つの異なる長方形が絡み合うことで、PCケースとしての機能を実現している。純粋なピラーレスデザインケースではないものの、複数の強化ガラスを用いたシースルー構造で、内部が透けて見える。
LEDイルミネーションを多用した組み込み例では、各パーツのレイアウトがかろうじて把握できるものの、おそらく空の状態やLEDイルミネーションなしでは、内部構造の全貌を把握するのは難しいだろう。

製品名の「Puzzle」からは、複雑で難解な「知恵の輪」のようなイメージを抱いていたが、担当者の話によると
「三本組木」が着想のヒントになっているそうだ。なるほどそれで評価サンプルの周囲には「三本組木」が置かれているワケだ。
「三本組木」とは、角材の一部に切り込みを入れて鍵状に加工し、それを3本組み合わせることで完成する構造。この組み木の完成形が、そのままPCケースのアイデアとして応用されている。その着眼点もさることながら、それを実際にカタチにしてしまうあたり、AZZAには相当優秀なデザイナーが在籍しているに違いない。

さすがに実際にひねればバラバラになるような構造ではないだろうが、組み込みやすさもエアフローも度外視した、まるで優れた近代建築のようなこの筐体は、誰の目にも斬新に映ったことだろう。
ちなみに以前、やはり説明が難解な形状のPCケースで一式組み込んだことがある。それなりに感心させられる点も多かったが、「やっぱり普通のPCケースが一番だ」と思ったことは──まあ、今ここで言うことでもないだろう・・・。