「UL Procyon」はアドビのクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストだ。こちらは重いデータや高度な処理を行なうため、ハイアマチュア/プロ向けの作品作り向きと考えられる。比較用のデータは前述の「PCMark 10」と同じく旧世代GPU搭載のエントリー向けクリエイターノートPC(Intel Core i7-1185G7/16GBメモリ/1TB NVMe SSD/NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti with Max-Qデザイン、比較機①)と、ミドルレンジのクリエイター向けノートPC (Intel Core i7-10875H/32GBメモリ/1TB NVMe SSD/NVIDIA RTX 3060、比較機②)の2機種だ。
「Photo Editing Benchmark」は画像加工に関するテストを行なう。「Image Retouching」は「Adobe Photoshop」メインでメモリとGPUの性能が影響しやすく、「Batch Processing」は「Adobe Photoshop Lightroom Classic」メインでCPUとストレージの性能が影響しやすい。「Video Editing Benchmark」は「Adobe Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間が計測される。こちらの結果は総合スコアのみだ。
このテストでは前述の「PCMark 10」の結果に反して、「Photo Editing Benchmark」全体で優秀な結果が出ている。おそらく32GBの大容量メモリと、超高速なPCI-Express4.0 M.2 SSDの効果が強く影響しているのだろう。画像や写真の加工であれば、エントリー向けGPU搭載の「Summit E16 Flip A11U」でも十分実用的に使えると考えていい。
しかしCPUとGPUの性能が強く影響する「Video Editing」では、かなり控えめな結果となった。旧GPU搭載機種のスコアを下回っていることから、テスト時になんらかの問題が生じたのかもしれない。前述のテストと同様、ドライバ関連の相性である可能性もある。
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| 「CINEBENCH R23」のマルチコアテストを10分間実行し続けた際のCPU温度およびCPUクロックの推移 |
結果は3時間50分で、公称値の最大11時間に比べてかなり短い結果となった。しかし今回のテストでは実利用を想定しているため、極端な省電力設定は行なっていない。消費電力の大きいGPUは有効のままで画面の明るさも40%までしか下げていないため、このような結果となったのだろう。公称値よりも短い結果だが、高性能パーツが使われていることを考えれば妥当な結果だ。GPUを無効化するなどの省電力設定を施せば、多少は駆動時間が延びるだろう。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社