GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIOの末端からフロントパネル裏側までの空きスペースは、実測で約80mm強。計算上もピッタリで、じっくり眺めたところで居住性の良さは一目瞭然。拡張スロットのフレームレス設計も手伝って、ネジ留めもスムーズに行う事ができた。
ただしATX規格のミドルタワーであるPop Air RGB TGは、天井の低さがやや気になった。フロントにRGBファン(Aspect 12 RGB White)を標準装備している事で、オールインワン型水冷ユニットのラジエーターのほとんどは、トップパネルにマウントされるはず。そこで多くのユーザーが組み込み手順のちょっとした違いで、コネクタが挿せないシーンに遭遇するだろう。これは思いの外ショッキングだ。
フロントパネルに装備されるAspect 12 RGB Whiteは、ずいぶんゆったりとした間隔で固定されている。もう少しスペースがあれば、3基の120mmファンが搭載できるはずだ。しかしそれを選択しなかったのは、E-ATX対応のひとまわり大きなPop XL Air RGB TGが存在するからだろう。明確にラインナップを切り分けるには、Pop Air RGB TGの大型化は避けたかったに違いない。天井部分の窮屈さは、バリエーションの明確なポジショニングによるところと見るが、あながち間違いではないだろう。
バリエーションの中の1台である事はさておき、純粋なミドルタワーPCケースの新作としては、やはり完成度は高い。Pop Mini Silent TG検証記事の総評では、Fractalらしいシンプルさと合理的な設計をプラス評価した。これはPop Air RGB TGにも共通しており、オリジナルブランドPC等のベース筐体として、ロングセラーになる可能性を予感させる。Popシリーズという"大きな塊”は、ライバルメーカーにとってうるさい存在になるだろう。
協力:Fractal Design
株式会社アスク