In Win「A5」内部構造チェック
次に両サイドパネルを取り外し、A5の内部構造をチェックしていこう。見慣れたミドルタワーPCケースと異なるのは、フロント寄りに縦のプレートが装備されていること、さらにデフォルトとも言えるボトムカバーが装着されていないこと。つまり電源ユニットはどこにマウントするのか?など、色々な疑問がこのセッションで明らかになっていく。
In Winと分かるマザーボードトレイ
左側面の大開口部から、マザーボードトレイを観察してみよう。A5は横幅272mmまでの制限付きながらE-ATXを筆頭に、ATX、MicroATX、Mini-ITXの各マザーボード規格に対応している。これを念頭にマザーボード設置エリアを見ると、奥行き399mm、高さ407mmのコンパクトな設計とあって、決して広大なマザーボードトレイとは言えない。それでもボトムカバーが装備されていない分、上下は目いっぱいマザーボードが占有できる。

出荷時のマザーボードトレイには、2本のスタンドオフが装着済み(白丸)。いずれも段差が設けられており、マザーボードのネジ穴にセットすることで位置決めができる。そしてATX規格の標準的な9つのネジ穴のうち、残り7箇所は絞り加工の引き延ばしにより山を成型。円錐台の中央をネジ切り、スタンドオフの役割を果たしている。これはIn WinのPCケースでは以前より使われている手法で、同社の特徴のひとつだ。
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装着済みのスタンドオフは2本のみ。その他は同じ高さまで絞り加工により成形された円錐台に直接ネジ留めを行う
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冷却ファンレイアウト(1):トップファン
- 冷却ファン:120mm x2基
- ラジエター:120/240mmサイズ
垂直エアフロー構造を採用するA5。冷却ファンレイアウトは、その核心に迫る重要なチェックポイントだ。まずはABS樹脂製トップパネルを外し、シャーシ側の上面を確認すると、"あみだくじ”のような縦線/横線の格子に紛れ、前後各4つのネジ穴が確認できる。ここには120mmファンが最大2基増設できるというワケだ。さらに240mmサイズラジエーターも設置が可能。マニュアルによると、A5では唯一のラジエーター搭載スペースになっている。
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ABS樹脂製パネルを装着した状態のトップパネルの様子
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ネジ穴はスリットタイプではなく、オーソドックスな丸穴タイプ。ここに冷却ファン2基が設置できる
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冷却ファンレイアウト(2):リアファン
- 冷却ファン:120mm x1基(Mercury AM120S標準装備)
- ラジエター:120mmサイズ
リアには唯一の標準装備となるARGBファン
「Mercury AM120S」が装着されていた。これはIn Winのカタログモデルであり、国内市場ではA5とほぼ同時に販売がスタート。単体(型番:FN-AM120S-1PK)と3個パック(FN-AM120S-3PK)が用意されている。厚さは20mmのスリムタイプで、回転数は400~2,000rpm±10%、風量60.71CFM、静圧2.72mmH2O、騒音値17~29dBAとされる。なお120mmサイズラジエーターへの換装も可能。最もベーシックなオールインワン型水冷ユニットを導入する場合、この場所に設置する事になるだろう。
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Mercury AM120Sはテーパーネジ固定されている
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冷却ファンレイアウト(3):ボトムファン
垂直エアフロー構造を構築するには最も重要と言える、ボトム面の冷却ファン増設スペース。ここには120mmファンが最大2基搭載可能。上昇する熱の性質と相まって、底面から外気を取り組み、一気にトップ(およびリア)から排出させる。これが垂直エアフロー構造の考えだ。そしてこれを実現させるには、冷却ファンの増設は必須。ラジエーターの増設は不可だが、システムに見合った冷却ファンを選択したい。
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ネジ穴の位置を分かりやすくするため、防塵フィルタを外した状態の底面。前方はストレージ搭載スペースに割り当てられている
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