開発に9年間を費やした「NF-A14x25 G2」待望の市販化
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紆余曲折を経て完成。「NF-A14x25 G2」を手にするNoctuaのプロフェッサー・Jakob Dellinger氏
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そろそろ製品ラインナップをご紹介したいところだが、「NF-A14x25 G2」が完成するまでの道のりを簡単に振り返っておきたい。その存在を初めてお伝えしたのは
2023年開催のCOMPUTEXブースレポートだった。
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COMPUTEX TAIPEI 2023のNoctuaブースレポートでは「Next-gen 140mm fan」として開発経緯の詳細が紹介されていた
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どう見ても「完成形」に見えるラウンド形状の「Next-gen 140mm fan」(2023年6月当時)
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当時の記事を振り返ると、140mmファンのプロトタイプ
「Next-gen 140mm fan」は、2018年に検証を行った
「NF-A12x25」シリーズの流れを組む次世代汎用ファンとされている。そのプロトタイプは2015年から2020年までの期間を費やし、プロトタイプが完成。しかしバリデーション(validation)テストおよび熱耐性評価のハードルが立ちはだかり、重要な初期フェーズ「Development phase」がクリアできたのは、2021年10月だった。
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「NF-A12x25」シリーズ
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その後、素材の選択や鋳型の設計・製作を経て、20~50ユニットのプロトタイプを製造。バリデーションテストをクリアし、第2フェーズの「Tooling phase」が完了したのが2022年6年。最終フェーズ「Final Validation phase」では、最大300ユニットという小ロットで生産されたプロトタイプを元に3Dスキャンによるチェックや、製品寿命、パフォーマンス、ノイズ検証を実施。高温環境下(60~70℃)での動作チェックや、実際にCPUクーラーに取り付けた状態でのテストを繰り返し行う事になる。
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開発完了間近とされていた2023年当時の評価サンプル(Final validation phase時)
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最終フェーズ「Final Validation phase」の最終テスト「MVT procedure」は約4ヶ月のテストを実施。結果的に2023年のCOMPUTEXからさらにもう1年を要してしまう
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ここまでが2023年に開催されたCOMPUTEXでのブースレポートのおさらい。完成間近とされ、早ければ2023年12月の大量生産開始が見込まれていたものの、今度はラジエーターにネジ留めを行った場合、長期間の運用におけるフレームの捻れが発覚。フレームの強化を余儀なくされ、設計の見直しと防振ガスケット(anti-vibration gasket)および防振パッド(anti-vibration pads)の追加を行った。※付属品セッションの「注意書きカード」参照
そして長い年月を経て完成した「NF-A14x25 G2」は、2024年開催のCOMPUTEXブースで披露。ようやく販売がスタートしたのは、2024年9月だった。
- 2015年から2020年まではプロトタイプの作成
- 2021年10月 Development phaseをクリア
- 素材選定・鋳型設計および製作→バリデーションテストをクリア
- 2022年6月 第2フェーズ「Tooling phase」完了→最終フェーズ「Final Validation phase」
- 2023年6月「COMPUTEX TAIPEI 2023」でサンプル展示→フレームの捻れ発覚→改良
- 2024年6月「COMPUTEX TAIPEI 2024」で製品版披露
- 2024年7月「NH-D15 G2」シリーズ発売(ラウンド形状「NF-A14x25r G2 PWM」搭載)
- 2024年9月「NF-A14x25 G2」シリーズ発売

プロトタイプからグローバル市場向けの出荷開始までを駆け足で振り返ったが、これほどまでのこだわりと決して妥協しない自作PCメーカーはNoctua以外に見当たらない。後に外観を似せた遙かに安価な同等製品が複数流通しているが、コンシューマ向けとは思えないほどの開発プロセス、そしてテスト期間を経て完成させた「NF-A14x25 G2」は、そう簡単に真似る事はできない。