「MAG 255F E20」でモンハンベンチを動かしてみる
レビューの最後は、実際に「MAG 255F E20」とゲーミングPCを使った実動インプレッションをお届けしよう。動作検証にあたっては、Core i7-13700KFとGeForce RTX 4080を搭載するMSIのハイエンドゲーミングマシン「Aegis Ti5 13NUG-257JP」を用意。解像度はフルHDのため、十分すぎるスペックだ。
ゲームに最適なRAPID IPSパネル、PS5ではフルHD/120Hz動作も可能
パネルにはゲーミング液晶ディスプレイでは定番のRAPID IPSを採用。コントラスト比は1,000:1、最大表示色は約10億7000万色(8bit+FRC)で一般的なsRGBを96%、デジタルシネマ向けのDCI-P3では79%の色域をサポートする。クリエイター向けモデルに比べると色の再現性は高く無いため、動画編集など正確な色が求められる作業は避けたほうが無難。ただし、ゲームを楽しむには問題ないレベルだ。輝度は300cd/m2でパネル全体の均一性も高く中心からフレーム端まで一貫した画質と明るさを保っている。
動画は夜景による映り具合のチェックからスタートし「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」と続く。動きも滑らかで、ゲーミング液晶ディスプレイとしては十分な性能を発揮しているのがお分かりだろう。後半では最大120Hzの高速リフレッシュレート表示ができるPS5を使った「フォートナイト」プレイ時の様子を撮影しているので参考にしてほしい。
なお、動作中の消費電力を計測したところ、アイドル時(リフレッシュレート60Hz/Windows起動後10分何もしていない状態)で19W、リフレッシュレート200Hz環境でゲームをプレイした時は23Wとほとんど変わらなかった。
「ナイトビジョン」と「AI Vision」を試す
続いて、実際のゲームで有用な補正機能のひとつ「ナイトビジョン」と「AI Vision」の効果を見ていく。暗闇や夜といった暗いシーンの映像を見やすく補正してくれるもので、ゲーム中に薄暗い場面で見にくいアイテムを発見したり、敵と遭遇した場合などに役立ってくれる。設定は「オフ」と自動で効果を調整してくれる「A.I.」のほか、効果のレベルに応じて「通常」から「最も強い」の5段階から選択できる。
比較映像を見ると「オフ」では見にくかった暗いシーンが、機能を有効にすると通常/強い/最も強いの順に見やすくなっているのがわかる。ゲームの雰囲気とのバランスもあるが、「ナイトビジョン」を強めに設定すれば効果は抜群。FPS系のゲームでも威力を発揮するだろう。
なお、「AI Vision」はシーンに合わせて、暗い部分を明るくするだけでなく、全体の輝度とコントラスト(色の彩度)を向上させるというもの。「ナイトビジョン」のほか、MPRTや輝度調整などいくつかの機能とは排他動作となるが、「ナイトビジョン“強”設定では明る過ぎる」という人は、バランスのいい「AI Vision」がオススメだ。
リフレッシュレート比較
テストセッションの最後は、ゲーミング液晶ディスプレイを選択するうえで重要な要素であるリフレッシュレートをチェックする。テストでは、それぞれ60Hz/160Hz/200Hz設定における違いを比較していく。できるだけ分かりやすく体感するために、レースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイを使用。ディスプレイ同期を有効化するとともに、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影している。
検証動画を確認すると、60Hzのリフレッシュレート設定でも低残像かつクリアな画質となっていた。200Hz駆動の高速リフレッシュレート環境では残像感が抑制され流れるようにスムーズな描画で、一度この滑らかさを体感すると低フレッシュレートの設定では違和感を感じるほど。圧倒的な滑らかさと低残像は競技シーンのようなハイレベルな場合でも絶大なアドバンテージを発揮するはずだ。
お財布に優しいゲーミング液晶ディスプレイの定番&入門モデル
「MAG 255F E20」のセールスポイントは、画面描写の美しさよりも高速描写を重視するFPS/TPSゲームに必要なスペックを兼ね備えつつ、本体価格が税込24,800円(2025年4月現在)と安価な点だ。実はレビューにあたり調べていたところ、冒頭でも触れた旧モデル「G255F」もAmazon専売モデルとして税込21,800円(2025年4月現在)で販売されていた。両モデルの差額は3,000円だが、リフレッシュレートや応答速度が向上し「AI Vision」といった最新機能が盛り込まれているなど、その差は価格以上に大きい。ここは「ケチるところではない」と断言できるだろう。
また、より大きい画面や高い解像度、高速なリフレッシュレートといった液晶ディスプレイのポテンシャルを引き出すには、それなりのスペックを持つゲーミングPCが必要となるところ、24.5型&フルHD解像度の本機であれば、エントリーからミドルレンジクラスのPCでも十分利用できる。トータルで見ても財布に優しいゲーム環境を整えることができるというワケだ。ゲーミング液晶ディスプレイを手軽に使いたいという人なら、候補のひとつになるモデルだろう。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社