「MAG 271QP QD-OLED X24」の美麗な画面を堪能する
ここからは、実際に「MAG 271QP QD-OLED X24」を使った実動インプレッションをお届けする。動作検証にあたっては、Core i7-13700KFとGeForce RTX 4080を搭載するMSIのハイエンドゲーミングマシン「Aegis Ti5 13NUG-257JP」を用意した。
圧倒的な映像美を体験できるQD-OLEDパネル
量子ドットと有機ELを組み合わせたQD-OLEDパネルは水平垂直ともに178°とIPS同様の視野角を備えるが、それら一般的な液晶とは比較にならないほど視野角の変化に強く、ほぼどこから見ても視認できる画質を保っている。輝度やコントラストといった見た目の変化は誤差のレベルと言っていい。
またパネル全体の均一性は非常に高く、広色域の対応と工場出荷時のキャリブレーションを実施することで色精度ΔE≦2を実現している。ゲーミングディスプレイとしてだけでなくコンテンツ制作に携わるクリエイターにも最適な1台となっている。
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ゲームに強い「ナイトビジョン」と「AI Vision」を試す
続いて、実際のゲームで有用な補正機能のひとつ「ナイトビジョン」と「AI Vision」の効果を見ていく。暗闇や夜といった暗いシーンの映像を見やすく補正してくれるもので、ゲーム中に薄暗い場面で見にくいアイテムを発見したり、敵と遭遇した場合などに役立ってくれる。設定は「オフ」と自動で効果を調整してくれる「A.I.」のほか、効果のレベルに応じて「通常」から「最も強い」の5段階から選択できる。
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「最も強い」設定ではやや白浮きが目立つが、「A.I.」設定にすることで視認性を担保しつつコントラストを強化して画質が維持されている。いっぽう「AI Vision」では背景の輝度をより最適化して画質の強化が謳われている。画面プリセット「プレミアムカラー」では、MSIではおなじみの「User (ユーザー)」と比較してより鮮やかな発色のプリセットだ。「ナイトビジョン」の「A.I.」、または「AI Vision」を有効にすると、この「プレミアムカラー」は排他となり、通常の「User (ユーザー)」が適用されるため、少し色が抜けたように感じるかもしれない。
今回のテストでは「ナイトビジョン」の「A.I.」とした方が視認性は高くなったが、「AI Vision」の方がゲームの雰囲気を保った画質を実現していた印象だ。どちらの機能も設定をONにするだけで暗部の視認性を簡単に改善できるため、状況や好みに合わせて使い分けたい。
リフレッシュレート比較
テストセッションの最後は、ゲーミングディスプレイを選択するうえで重要な要素であるリフレッシュレートをチェックする。テストでは、それぞれ60Hz/120Hz/240Hz設定における違いを比較していく。できるだけ分かりやすく体感するために、レースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイを使用。ディスプレイ同期を有効化するとともに、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影している。
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中間階調応答速度(GTG)の公称値は驚異の0.03msを誇り、一般的なパネルと比較すると約33倍も高速で残像感やブレといった現象が極限まで抑えられていることが分かる。またこの応答速度は60Hzのリフレッシュレート環境においても有効で、高解像度ではFPSを維持できないといった場合でもその恩恵を十分に得ることができる。
液晶分子に電圧を掛けて応答速度を上げる従来のオーバードライブとは異なり、自発光ピクセルに直接電圧を掛けるQD-OLEDでは、オーバーシュートやゴーストといった過電圧や調整に起因する画質の破綻が無いため、高速かつ極めてクリアな画質を実現できる。よって反応スピードを要求される競技タイトルで絶大なアドバンテージを発揮するはずだ。
従来のディスプレイを凌駕する映像美と高いゲーミング機能を両立した1台
量子ドット技術を用いたQD-OLEDパネルによる映像はずば抜けてきれいだ。これは、実機を見た人なら誰しもが感じる感想だろう。実際に店頭で確かめてほしいところだが、残念ながらAmazon専売モデルのため、手元に届くまで分からない。しかし、電源を入れた瞬間、その美しさには驚くだろう。
QD-OLEDパネル採用モデルでは切り離せない焼き付きも「MSI OLED CARE 2.0」により解決できている。ユーザー側で面倒な作業もないため、今まで一般的なディスプレイを使っていた人でも問題なく利用できる。
加えて、最大240Hzの高リフレッシュレートとOLEDならではの0.03msを誇る超高速応答は、27型のWQHD対応ゲーミングディスプレイとして最高峰のスペックを誇る。Adaptive SyncにナイトビジョンやAI Visionといったゲーム向け機能も充実しており、PCだけではなくPS5やNintendo Switch 2といったコンシューマゲーム機向けのディスプレイとの組み合わせでも活躍してくれる。
価格は約12万円と従来のディスプレイと比べるとかなり高価だが、購入後のインパクトと満足度は想像以上だろう。価格設定から万人にオススメできるモデルではないものの、少しでもディスプレイにこだわりたいなら、必ずチェックしてほしい1台だ。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社