大容量電源は小型化の時代に突入
老舗電源メーカーFSP(本社:台湾)のブースにおける注目ポイントは、まず1,200Wの高出力ながら、奥行きわずか125mmというショート設計を特徴とする電源ユニット
「DAGGER PM」シリーズ 。これを筆頭に、NVIDIAとの共同開発により、GeForce RTX 5090の搭載を可能としたMini-ITXケース
「S550」 にも注目。さらに、無停電電源装置(UPS)を内蔵したATX電源のデモンストレーションも行われており、見どころの多いこれらの展示内容を順に確認していきたい。
「DAGGER PM」シリーズは、幅125mm、奥行き130mm、高さ63.5mmのSFX-Lフォームファクタに対応した小型電源ユニット。ATX 3.1およびPCI Express 5.1の最新規格に準拠し、80 PLUS Platinum認証を取得。12V-2×6コネクタも標準装備し、最新グラフィックスカードに対応するスペックを特徴とする。
冷却ファンには、筐体にぎりぎり収まる120mmのFDBファンを搭載。日本メーカー製コンデンサを採用するなど、従来シリーズ同様に品質へのこだわりは健在であり、発売は年内を予定している。なお、COMPUTEX TAIPEI 2025においては、Seasonicからも同様のコンセプトを持つSFX-L電源ユニット
「PRIME HPD PX-1200 (ATX 3.1)」 が公開されている。
GeForce RTX 5090を搭載できるMini-ITXケース「S550」
「S550」は、NVIDIA SFF-READYプログラムのもと、NVIDIAとの共同開発で誕生したMini-ITXケース。ブース中央には、GeForce RTX 5090 Founders EditionやCore Ultra i9 285K、そして先ほどの「DAGGER PM」シリーズを搭載したデモ機が展示されていた。グラフィックスカードは、厚さ2スロットに限定されるものの、「DAGGER PM」シリーズを使えば、小型のハイエンドPCも構築できるというワケだ。
バックアップ機能搭載ATX電源「EnerXCube 550-M」
最近、複数クライアントから多くの相談を受けているというのが、停電やブラックアウトに対応する電源ユニット。現在でも、一部のアジア、アフリカ、南米などの地域においては、1日に複数回の停電が発生することは珍しくない。こうした状況に対応すべく、現在開発が進められているのが、バックアップ機能、いわゆる無停電電源装置(UPS)を内蔵したATX電源
「EnerXCube」シリーズ だ。
容量ラインナップは400W、450W、500W、550Wの4種類。大容量がない点について尋ねたところ「停電が頻発する地域で使用する多くのPCはスペックも低く、500Wもあれば十分な場合が多い」とのこと。
本体を確認すると、筐体の上部にバックアップ機能を内蔵。バッテリー仕様は26,650 (6S2P)/153.6Whとされる。また電源は80PLUS BRONZE認証を取得し、外形寸法は幅150mm、奥行き190mm、高さ86mmとされ、通常のAC入力だけでなく65W USB PD対応のType-Cポートも用意されていた。
デモ機では、電力供給をカットした状態を再現。0msで供給回路が切り替わり、内蔵のバックアップ機能へ移行する様子を体験することができた。担当者によれば、550Wの
「EnerXCube 550-M」 においては、最長で約14分間、バックアップ機能による動作が可能であるという。システムのシャットダウンや簡易的なデータバックアップであれば、十分な時間を確保できる。
高価な無停電電源装置(UPS)を導入することなくダウンタイムを回避できるため、中小企業や個人ユーザーにとっても導入のハードルは低くなる。なお発売時期は未定であるものの、価格はおおよそ800ドル程度になる見込みで。
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