冷却ファン&ラジエーターレイアウト
外観から非常に魅力的に映るThe Tower 300だが、この手のPCケースで最も気になるのがエアフローレイアウトだ。デザインを優先するがために犠牲になりがちなイメージは、誰もが抱く率直な感想ではないだろうか。限られた内部容積をPCパーツにとって快適な状態にするその「手法」を詳しく見ていこう。
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Thermaltakeの製品資料で示されたエアフローレイアウト
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冷却ファンレイアウト(1):トップファン
- 冷却ファン:120/140mm x2基(「CT140」x2基標準装備)
The Tower 300に唯一標準で搭載されるのは、トップ部にマウントされた2基の140mmファンだ。
「CT140」は、既存のThermaltake製PCケースでも多く採用。回転数500~1,500rpmで、最大風量は77.37CFM、最大静圧は2.3mm-H2O、騒音値は30.5dBAとされ、軸受けにはHydraulic bearingを搭載。摩擦力の低減による静音性と高耐久性を特徴とする。
なお120mmファン2基への換装にも対応するが、ラジエーターの設置はできない。
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プラスチック製トップパネルを外すと、2基の「CT140」(ホワイトバージョン)が露わに。構成パーツからの熱を外部へ排出する要とも言える排気ファンだ
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内部からマウントスペースをチェック。マザーボードの真上に位置することになる
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ブラケットは着脱が可能。2本のハンドスクリューで固定され、120mmファンへの換装にも対応する。なお出荷時より電源コネクタをひとまとめにできる、分岐ケーブルが接続されていた
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冷却ファンレイアウト(2):右側面ファン
- 冷却ファン:120/140mm x3基
- ラジエーター:360/420mmサイズ
右側面には120/140mmファンを3基増設可能。シャーシにはスリットタイプのネジ穴が2本平行し、120/140/240/280/360/420mmサイズのラジエーターも搭載できる。モデル唯一にして最大のラジエーター搭載スペースであり、恐らくThe Tower 300の全高は、右側面の最大ラジエーターサイズが軸になっているのだろう。

なお搭載できるラジエーターの長さは最大で456mmとされる。ハイエンド志向のCPUを搭載する場合、長尺ラジエーターは大きな冷却のアシストになる。The Tower 300がもつ想定ユーザーが想像できる部分と言える。またラジエーターを搭載しない場合でも、外気を取り込む吸気ファンの増設は、システムにとって有効だろう。限られた増設スペースだけに、ここを空き状態で運用する事はあまりオススメしない。
冷却ファンレイアウト(3):リアファン
背面のセンターを占有するハニカム状の通気孔。ここには120mmまたは140mmファンが最大2基増設できる。設計的には実にシンプルで、ツールフリーで取り外しができるリアパネルには120mm用と140mm用の丸穴があり、直接ネジ留めを行う格好。マグネット固定式防塵フィルターの備えは万全だが、パネル取り外し時は電源ケーブルが宙に浮く事になるため、取り扱いには注意が必要。
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増設したファンは排気方向でのマウントを推奨。標準装備のトップファン同様、内部の熱を常時排出する重要な役割を果たしてくれる。ちなみにラジエーターは搭載できない
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通気孔全体をカバーするマグネット固定式防塵フィルターを装備
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冷却ファンレイアウト(4):電源カバー上面ファン
電源ユニット搭載スペースの天板にも120mmまたは140mmファンが1基増設できる。多くのThe Tower 300作例では決まってARGB LEDファンがマウントされ、下からのイルミネーション効果がアピールされている。確かに見た目の効果も有効だが、下部のスリットから外気を取り込む用途が想定されており、右側面と合わせて意外にも重要なポジションなのだ。

とは言え電源ユニットの真上で吸気は可能か?という疑問はあるだろう。ATX規格の電源ユニットは高さ86mmだが、ハニカム状の通気孔を持つ天板まで約25mmの隙間ができる。増設ファンは天板の上にマウントするため、吸気に要する空間としては十分に確保できている。正面下部と左右に内部フィルター付き通気孔が設けられている意味はここにあり、できれば増設した方がシステムにとっては有益になるはずだ。