大迫力、300台近くの検証機が並ぶ圧巻のテストセッション
この時点ですでに“動作するはず”のメモリだが、ここからは出荷する全てのメモリを1枚ずつチェックする。自社開発したソフトウェアを使い、いわゆるメモリテストを行うのだが、検証の規模がとにかくすごい。バラックで組まれた2台のシステムが全部で4段あり、DDR5メモリの検証環境だけで120台。DDR4メモリの検証環境も同じく120台あるほか、サーバー向けやノート用(DDR4/5 SO-DIMM)も含めると300台近くが稼働している様子はまさに圧巻だった。
なお、検証機はAMD環境とIntel環境があり、マザーボードの多くがASUS製で、ほかにGIGABYTEとMSIが採用されている。ちなみに、CPUの世代に合わせてテスト環境は随時入れ替えていくほか、使用するCPUは基本的にハイエンドモデルとのこと。発熱が高いため360mmサイズのオールインワン型水冷ユニットが使用されていた。
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「Core i9-14900KF」+「PRIME Z790M-PLUS」で動作していた検証機の1部。CPU、マザーともにハイエンド構成となっている
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16GBモジュールで約7分ほどでテストは完了。RGBモデルも非RGBモデルもテストされていたが、ヒートスプレッダは未装着の状態
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また、サーバーやノートPC向けのSO-DIMMメモリは、burn-in testを実施。メモリスロット全体を覆うヒーターを使って、約80℃の環境下で動作検証を行っていた。burn-in testはSSDも同様。まとめて300個のSSDをテスト可能で、入荷した製品は全て検査を経て出荷される。
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ノートPC向けメモリの発熱耐久測定。変換アダプタを使いATXマザーでテストされていた
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SSDのburn-in testは大型の収納ボックス内に納めて行う。取材中は80℃まで上げた状態でテストを行っていた
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最終品質管理のチェック
無事、動作テストをパスしたメモリは、FQC(最終品質管理)セッションへと進む。その名の通り、最後の検査を行う場所で、SPDデータのチェックやRGBの発光状況、キズ、汚れなどを目視で確認する。FQCの中には、さらにパッケージ不良まで検査するセクションもあるなど、非常に時間をかけて徹底した品質管理が行われていた。
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RGBの発光状態も全数チェック。パッケージは収納されている製品と一致されているか確認する
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なお、順番は前後するが、IQC(入荷品質管理)のセッションも見ることができたので紹介しておこう。メモリやSSDといった製品を生産するための部材や資材の品質を検査するところで、主に半導体メーカーから入荷してきたさまざまな部材が続々と運び込まれてくる。取材時にはSK hynixやMicronといった自作ユーザーお馴染みのメーカーのメモリチップやICチップが山積みにされていた。ここで厳しい検査をパスした部材のみ、管理倉庫へと運ばれる。
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IQC(入荷品質管理)はOEM関連の製品や部材も多く撮影が制限されるエリア。画像はメモリチップの両面をチェックしているところ
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梱包、そして世界中に出荷されていく
最後に紹介されたのが出荷エリアだ。ここでは、各国からオーダーされた出荷先の情報に合わせて製品の梱包が行われる。メモリやSSDは間違いのないよう何度もカウントされ、段ボール箱に詰められていく。取材班がショップのバックヤードでよく目にする、細長い見慣れた段ボールパッケージも数多くあった。ここで封をされた製品は、顧客(メーカーや代理店、ショップ)に届くまで開封されることはない。
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出荷後のトラブルを防ぐ目的で天井にはカメラが備えられており、作業の様子は全て録画されている。メーカーや代理店、ショップに届いた際「発注した製品や個数と異なる」と言った問い合わせがあっても遡って確認することができる
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日本を含むアジアや北米、ヨーロッパ、アフリカなどへ出荷されていく。“TJ”はTeamJapanの略称。日本に向けて出荷される製品だ
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Team製品の品質の高さを裏付ける“台湾製造”
エルミタ取材班では過去にもパーツ工場の取材をしているが、まず驚いたのは内部が非常にきれいで整頓されているところ。さらに、そこで働く従業員の規律の取れた動きは、Team製品の品質の高さを裏付ける一番の要因だと感じた。
要所要所で行われる検査が機械と人の目で行われている様子はお分かりだと思う。自動化されている中でも、チェックを含めた重要な部分は主に人が行うスタイル。動作不良は言うに及ばず、わずかなキズも漏らさず見つけ出荷前にふるい落とすという点においては、実に徹底している。動作不良やキズ、パッケージ破損など、外れを見つけるのが難しいと感じるほどだ。
ご存じの通り、PCパーツに限らず、多くの精密機械が中国をはじめとした大陸方面で製造される事が多い。そんな中、本社直結工場の生産にこだわるTeamは、オーダーを受けてから出荷するまで「最短で2日あれば対応できる(在庫がある場合)」という。品質重視はもちろんのこと、受注から生産、発送までのトータルリードタイムを短くすることによって、世界中にある300近い顧客を満足させている。日本のみならず、世界中で市場シェアを急速に伸ばしているTeam躍進の理由がまさにこの優れた体制にあり、今回その一端を垣間見ることができた。
協力:Team Group