全コア4.40GHzへオーバークロックした場合の性能をチェック
メインストリーム向け最上位Ryzen 9 3950Xに対して、いまだ余力を十分残しているFractal Design「Celsius+ S36 Prisma」。続いてUEFI BIOSから電圧を1.44375V、コア倍率を全コア44倍(4.40GHz)にオーバークロックした状態でも試してみることにした。今回検証に使用したCPUでは、常用できる最高レベルのオーバークロックだが、サーマルスロットリングなど発生せず、安定動作させることができるのだろうか。
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UEFI BIOSからコア電圧を1.44375V、コア倍率を44倍に固定した状態でもチェックを実施。これ以上のクロックに設定すると安定動作が難しいことはすでに検証済みだ
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「HWiNFO64」では全てのコアが4.40GHz駆動しているのが確認できた
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CPU温度とCPUクロック
オーバークロックによって、定格から消費電力は約40Wも増加しているにも関わらず、CPU温度はおおむね
70℃~85℃で推移。最高温度も
91℃で、オーバークロック状態でも冷却性能には問題ない。もちろんサーマルスロットリングと思われる症状もなく、CPUの動作クロックは終始4.40GHzで安定していた。
冷却ファン回転数と騒音値
高負荷時のファンの回転数は、定格から+約100rpmの
1,350rpm前後で頭打ち。その時の騒音値は
37.3dBAで、正直聞こえてくるノイズの違いはほとんど感じられなかった。また瞬間的にファンの回転数が急上昇することもなく、終始静音性が保たれていた。グラフィックスカードのノイズを工夫する必要はあるが、「Celsius+ S36 Prisma」を使えば高性能かつ極静音志向のPCを構築することができる。
先代の良さはそのままに、正統進化を果たしたオールインワン型水冷
Fractal Designとしては初の光るオールインワン型水冷ユニットとなる「Celsius+ Prisma」。ウォーターブロックに加え、ファンもほぼ全体が発光し、魅せる要素については文句なし。また定評のあった「ファンハブ」機能に、アドレサブルRGB機能が統合されたことで、ケーブル処理の利便性については、他の製品の追随を許さない。
敢えて欲を言うなら、5V/3pinのアドレサブルRGB LED非対応のマザーボードでも発光パターンやカラーを制御できるよう、少なくとも簡易的なRGBコントローラは標準で付属して欲しかった。
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ラジエターのファンハブは、煩雑になりがちなケーブルマネジメントを最小限に抑えることができる、想像以上に便利な機能。ケーブル処理に辟易しているなら導入をぜひ検討してみるといいだろう
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また肝心な冷却性能については、メインストリーム向け最高峰となるRyzen 9 3950Xの定格はもちろん、オーバークロック時の発熱も完全に押さえ込むことができた。さらにFractal Design独自の「AUTOモード」を使えば、一般的なPWM制御のように瞬間的にファン回転数が上がることもなく、常に静音動作を維持することができる。
一見するとコンセプトがガラリと変わった印象を受ける「Celsius+ Prisma」だが、優れた静音性・冷却性能・利便性と言ったFractal Designらしいこだわりは継承。時代にそぐわなくなった機能のみ省略しつつ、最新機能を追加した正統進化モデルだった。
協力:Fractal Design
株式会社アスク