エルミタ的Torrentシリーズ最終章
増殖を続けるFractal Design(以下:Fractal)のTorrentシリーズ。高エアフローを軸に誕生したのは2021年8月で、瞬く間に人気PCケースの仲間入りを果たした。Fractalと言えば静音PCケース
「Define」シリーズが代名詞だが、真逆のコンセプトである
「Meshify」シリーズの高評価は、Torrentシリーズ増殖のきっかけのひとつと言えるだろう。相乗効果による高エアフロー志向の需要は、長く続いた静音一辺倒からようやく抜け出した自作PC事情を反映している。
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どちらもATX規格のミドルタワーPCケースのTorrent(左)とTorrent Compact(右)
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Torrentシリーズに話を戻すと、つい先日「Torrent Compact」の検証をお届けしたばかり。"無印Torrent”から約半年で投入されたCompactは、ATX規格のミドルタワーPCケースながら、ネーミング通りのコンパクトな仕様に仕立て直した異例の存在。やや立ち位置がぼんやりとしている感は否めないが、これを製品化させるFractalの底力はライバル他社にはできない強みだろう。リリーススパンからは当初より計画されていたことは明らかだが、これが終わりではなかった。
今回取り上げる
「Torrent Nano」は、無印TorrentやTorrent Compactをさらに小型化させた、いわばCube型Mini-ITXケース。
Mini-ITX構成で必要とされる高エアフローという明確なコンセプトは、確かな需要を見込んでの投入に違いない。Torrent Compactと同日発売された"シリーズ最終章”が今回の主役である。
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Fractal Design「Torrent Nano RGB Black TG Light Tint」(型番:FD-C-TOR1N-02)
市場想定売価税込21,340円前後(2022年2月18日発売)
製品情報(Fractal Design / 株式会社アスク)
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「Torrent Nano」の全バリエーション
例によってTorrent Nanoも複数のバリエーションが存在する。シリーズ3モデルが揃った所で、全てのラインナップを数えてみると、無印Torrentは6機種、Torrent Compactは4機種(いずれも発売時)、そしてTorrent Nanoは4機種が用意された。
- Torrent Nano Black Solid(型番:FD-C-TOR1N-04)
- Torrent Nano Black TG Dark Tint(型番:FD-C-TOR1N-01)
- Torrent Nano White TG Clear Tint(型番:FD-C-TOR1N-03)
- Torrent Nano RGB Black TG Light Tint(型番:FD-C-TOR1N-02)
カラーはブラックとホワイトの2色で、両サイドパネル密閉型が1機種、強化ガラス仕様が3機種で、そのうちクリアとダークのガラス色があり、好みの構成が選択できるというワケだ。ただしホワイト色はクリアの強化ガラスのみ。
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Torrent Nano Black Solid
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Torrent Nano Black TG Dark Tint
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Torrent Nano White TG Clear Tint
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Torrent Nano RGB Black TG Light Tint
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このように、Torrentシリーズは3モデル合計で全14機種展開。Defineシリーズは押しも押されもしないFractal不動の看板モデルだが、エアフロー重視のTorrentも同社急成長株である事は間違いない。
スペック表に見るFractal Design「Torrent Nano」
ここでTorrent Nanoの性格をスペック表から読み解いてみよう。対応フォームファクタはMini-ITXおよびMini-DTX。前者は選択肢豊富な170mm四方の基板で、後者は縦を203mmに延長。これにより本来1本である拡張スロットが2本になり、より拡張性が向上されている。とは言え選択肢は少なく、やはりメインはMini-ITXという事になるだろう。
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Torrent Nanoのシャーシ。フロントパネル裏にポッカリと空いた穴には、コンセプトの象徴となる180mmファンが標準装備される
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主素材はスチールで、副素材にプラスチック、さらにTorrent Nano Black Solid以外ではサイドパネルに強化ガラスが使われている。外形寸法は幅222mm、奥行き417mm、高さ374mmで、400mm台を超しているのは奥行きだけ。コンパクトながら重量は6.0kg(レビュー対象)なのは、それだけ"いろいろなモノが詰まっている証”と言えよう。
なおパッケージサイズは幅300mm、奥行き446mm、高さ538mmと思いの外大型。実際に編集部に評価サンプルが届いた時はその大きさから「Torrent Compact?」と疑うほど。恐らくMini-ITXケースのパッケージサイズとしては、最大クラスではないだろうか。とは言え付属品および緩衝材を含めた総重量は7.8kg(レビュー対象)で、店頭からの持ち帰りは十分に可能なレベルではある。
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LDPE(低密度ポリエチレン)製の梱包袋に包まれた状態で、パッケージに梱包。例によって内部はFractalロゴパターンがデザインされた両面印刷仕様。フタを開く時のワクワク感を演出する小粋な仕掛けだ
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