グラフィックスカードを搭載してみる
次にグラフィックスカードを搭載してみよう。先ほど、GeForce RTX 4070 Founders Editionを仮組みしたが、搭載テストには、
ASUS「Dual GeForce RTX 4060 Ti OC Edition 8GB GDDR6」を用意。Axial-tech Fan DesignによるデュアルファンVGAクーラーを搭載し、2.5スロットを占有。外形寸法は幅123.24mm、長さ227.2mm、厚さ49.6mmとされる。
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分かりにくいのが、カード幅と厚さの関係。例えば「1」の場合、幅131mm/厚さ43mm、幅134mm/厚さ33mmといった具合にカード幅でカード厚のサイズが変わってしまうのは、スプリング内蔵でピンがスライドするロック機構(幅10mm)が干渉してしまうため
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実際に搭載してみると、まずどこかに干渉する事はなく、きれいに収まってくれた。補助電源コネクタは8pin x1なので、PCIe補助電源ケーブルの取り回しも容易に行う事ができている。仮にGeForce RTX 40シリーズの上位カードを搭載する場合、極力16pin変換アダプタを使わずに済むようにはしたい。

なお、Dual GeForce RTX 4060 Ti OC Edition 8GB GDDR6搭載後の右方向クリアランスは、実測で約100mmを残した。有効最大幅が公称322mmだからほぼ合致(カード長227.2+残空間100mm)している。

この空きスペースは何かに使えないかと考えるだろうが、唯一の設置箇所とされているラジエーター搭載はかなわない。正攻法ではこれ以上どうにもならないが、手慣れた自作派なら、2.5インチSSDをあの手この手で設置してしまうだろう。それだけのスペースは十分に残されている。
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PCIe 4.0対応ライザーケーブルは備え付けだけに、短すぎず長すぎない絶妙なサイズ
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3pinインレット左側上にある小さな穴は「Security Lock Slot」(幅3mm/縦7mm)
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総評:チャレンジし続ける熱心な自作派にお薦めの小型筐体
自作派の中には一定数の熱心な小型PCマニアが存在する。Fractal Desingの新作Terraは、そんなマニアの心をくすぐるには十分の魅力を秘めた、小型PCケースにおける"拡張性の限界”にチャレンジしたPCケースだ。

外観はシンプルながら、内部はパズルを解くような難解さがある。構造を十分に理解しないで構成パーツを買い揃えると、比較的高い確率で何かが起こる。マニュアルはよくできていても、事前にフォローできているかは、ユーザー側の腕次第だ。普及価格帯のPCケースに比べて高価なため、自作経験の浅いライトユーザーは、一旦深呼吸をして、もう一度本稿に目を通して頂きたい。少しでも理解できないところがあれば、無理をしない方がいい。

多少は言い過ぎかもしれないが、小型PC自作特有の難解さにプラスされたTerra独特な設計。パズルのようだと形容したが、解ければ達成感と喜びが得られる点も共通している。

ずいぶん前から手元にサンプルはあったものの、思いの外時間を要してしまった。とは言え、久し振りに自作PCを楽しむ事ができた。Terra設計者には拍手を贈りたい。
協力:Fractal Design
株式会社アスク