ここからは「AN600」を実際にPCに組み込みその冷却性能をチェックしていこう。CPUはProcessor Base Powerが65WのCore i7-13700、マザーボードはIntel B760チップセットを採用するASRock「B760M Steel Legend WiFi」で、Power Limitの設定は標準設定(PL1=65W/PL2=219W)の他、手動でPL1/PL2=125WとPL1/PL2=180Wに設定した場合でもテストを行った。またストレステストは「OCCT 12.1.7:CPU:データセット大」と「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」の2種類を用意し、CPU温度はCPU Packageの数値を、騒音値はデータログ機能を備えた騒音計アズワン「TM-103」をCPUクーラーから30cmの距離に設置して計測をしている。
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| テスト用のCPUにはProcessor Base Power 65WのCore i7-13700を使用している | |
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| 「B760M Steel Legend WiFi」の標準設定では、PL1(Long Duration Power Limit)は65W、PL2(Short Duration Power Limit)は219Wに設定されていた |
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| PL1/PL2=125WとPL1/PL2=180Wに手動で設定した状態でも計測を実施した |
まずはCore i7-13700の標準設定(PL1=65W/PL2=219W)にした場合の冷却性能から確認をしていこう。
標準設定ではPL2が219Wに設定されているため、テスト開始直後はいずれのストレステストでもPackage Powerが跳ね上がる。ただし、約30秒後にはPackage Powerは65W前後、CPUのクロックもPコアが3,300MHz前後、Eコアが2,700MHz前後で落ち着き、CPUの温度もおおむね60℃前後で推移する。
続いてファンの回転数を確認するとアイドル時は900rpm前後、高負荷時でも1,300rpm前後で、公称の最高回転まではまだ約550rpmの余裕がある。そして騒音値は33dBA前後で推移しており、バラック状態でのテストにも関わらず風切り音はほとんど聞こえなかった。
続いて、Kシリーズでブースト機能を無効にした状態を想定し、PL1/PL2=125Wに設定した場合の冷却性能を確認していこう。
PL1が標準設定の65Wから125Wになったことで、テスト中のCPUクロックはPコアが4,200~4,300MHz、Eコアが3,300~3,400MHzへと引き上げられている。これに伴いCPUの温度も70℃前後に上昇しているが、CPUの許容する最高温度まではまだ約30℃の余裕がある。
ちなみに「CINEBENCH R23」のスコアを確認してみたところ、標準設定とPL1/PL2=125W設定では、シングルコアテストは変わらなかったが、マルチコアテストは17,920pts→22,820ptsへ約27%向上した。
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| 標準設定の「CINEBENCH R23」の結果 |
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| PL1/PL2=125W設定の「CINEBENCH R23」の結果 |
続いて高負荷時のファン回転数を確認すると、いずれのテストでも公称最高値の1,850rpm前後、騒音値も43dBA前後まで上昇している。ただし、ファンのサイズが120mmと大きく、高周波の成分が少ないことから、数値ほど耳障りに感じることはなかった。