PL1=65W/PL2=219W設定時のファン回転数と騒音値をチェック

ファン回転数は「OCCT 12.1.15」「CINEBENCH 2024」とも
1,250rpm前後までしか上がらず、まだまだ余力も十分残されている。またノイズレベルも
33dBA前後で推移し、高負荷時でもほとんど風切音は聞こえなかった。
PL1/PL2=219W設定時の冷却性能をチェック
続いてPL1/PL2=219Wに設定して、「NH-D9L chromax.black」の冷却性能の限界を探っていくことにしよう。

やはりいずれのテストでもCPU温度は
ほぼ100℃に張り付いている。とはいえ、Package Powerは「OCCT 12.1.15」「CINEBENCH 2024」とも220W前後を維持できており、「NH-L9x65 chromax.black」から明らかに冷却性能が向上していることがわかる。
PL1/PL2=219Wのファン回転数と騒音値をチェック

ファン回転数はいずれも公称最大値となる
2,000rpm前後まで上昇しており、冷却性能に余力は残されていない。ただし、ノイズレベルはフル回転にも関わらず
38dBA前後までしか上がらず、「NH-L9x65 chromax.black」よりもさらに静音性は優秀だった。
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「NH-L9x65 chromax.black」の「CINEBENCH 2024」の結果
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「NH-D9L chromax.black」の「CINEBENCH 2024」の結果
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また「CINEBENCH 2024:マルチコアテスト」の結果を確認すると、「NH-D9L chromax.black」のほうが「NH-L9x65 chromax.black」より若干Package Powerが高いものの、動作クロックには大きな変化がないため、スコアもほぼ横並びになった。
サーモグラフィ結果を確認
続いて「NH-D9L chromax.black」のヒートシンクやヒートパイプの温度をサーモグラフィを使い確認してみることにした。
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メモリスロット側ヒートシンクのアイドル時のサーモグラフィ
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メモリスロット側ヒートシンクの高負荷時のサーモグラフィ
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リアインターフェイス側ヒートシンクのアイドル時のサーモグラフィ
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リアインターフェイス側ヒートシンクの高負荷時のサーモグラフィ
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アイドル時、高負荷時ともヒートパイプの温度が周辺のヒートシンクより明らかに高く、ヒートパイプを伝って熱が移動している様子を確認できる。またファンを使いフレッシュな空気を取り込むメモリスロット側のほうが、暖気が吹き付けるリアインターフェイス側よりもヒートシンクの温度が全体的に低くなっている。
総評:決して色褪せないNoctuaスタイル
自作PCパーツ業界では希有な存在として一目置かれているNoctua。今回"新製品”として取り上げたNH-D9L chromax.blackとNH-L9x65 chromax.blackは、既存製品に化粧直しを施しただけにも関わらず、設計の古さや性能面での不安は一切感じる事がなかった。こんな事が通用するNoctuaを羨ましく思うメーカー担当者は数多くいるだろう。

そもそもNoctuaは新製品のリリースサイクルが非常に長い事でも知られる。近頃では他のメーカーでも同様の傾向が見られるものの、あの一貫した頑ななまでのスタイルとはかなり違う。Noctuaは一切妥協せずとことん突き詰め、開発に膨大な時間を掛ける。納得がいかない製品は決して市場には並ばない。一方で大多数は、ライバルの動向を気にしつつ、コストパフォーマンスに主眼を置く方向に走りがちだ。これを全て否定するつもりは無いが、Noctuaとは明確に異なる部分である事は間違いない。

今回の検証で感じたのは、多くのCPUが市場に投入され世代を重ねて行く一方で、Noctuaが約10年前に設計したCPUクーラーは未だ十分に通用する事実だ。それは冷却性能だけでなく、製品としての寿命=決して色褪せない存在感であり、これが誰も崩せないNoctuaスタイルなのだ。
協力:Noctua