SilverStone「SUGO 17」内部構造チェック
外装パネルを外しながら、SUGO 17の内部構造をひとつずつ確認してみよう。リアパネルのレイアウトから、複雑な内部構造が想像されるワケだが、冷却ファンの増設スペースやストレージの収納力など、見るべきポイントは沢山ありそうだ。自作経験豊富な読者にとっては、複雑な構造に比例して組み込みの難易度が上がる筐体は、チャレンジし甲斐のある魅力的な存在に映るだろう。
倒立レイアウトのマザーボード搭載スペース
一般的なPCケースとは異なり、マザーボードトレイと呼べるものは存在せず、シャーシのフレーム上にスタンドオフ(台座)を設け、そこにネジ留めするイメージだ。ちなみに出荷時より計5本のスタンドオフが装着済み。増設用には5つのネジ穴が設けられていた。
ATXのように3段3列計9本が整列しておらず、法則なく雑然としているように見えるのは、対応マザーボードがMicroATX、Mini-ITX/Mini-DTXだから。組み込みセッションでまた触れる事になるが、マザーボードは上下逆さまに固定する倒立レイアウトが採用されている。
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出荷時より搭載されているスタンドオフは計5本(黄○印)。その他に5箇所にネジ穴がある(白○印)
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冷却ファン&ラジエーターレイアウト
内部構造チェックの手始めに、最も気になる冷却ファン&ラジエーターのレイアウトを解説しよう。"最も気になる”理由は、PCケースそのものが持つ冷却パフォーマンスの素質が、基幹パーツの選定基準になるから。ミドルレンジを狙うのか、可能な限りハイエンドを狙うのか。まずは構成に見合うかをきちんと把握する必要がある。
冷却ファンレイアウト(1):トップファン
- 冷却ファン:120mm x3基または140mm x2基(120mmファン3基標準装備)
- ラジエーター:120/140/240/280/360mmサイズ
前面が密閉スタイルのSUGO 17は、トップ面よりフレッシュな外気を取り入れるエアフローが軸となっている。それを象徴しているのが、唯一の標準装備であるトップ面の120mmファンx3基だ。
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SUGO 17唯一の標準装備ファンはトップ面に装着済み
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詳細スペックは開示されていないが、評価機には「CC12025M12S」(DC12V/0.11A)が搭載されていた。3pinコネクタの標準的な汎用品で、動作音は非常に静かで滑らかな回転といった印象。9枚ブレードの25mm厚のリブ無しフレームが採用されている。これをテーパーネジによりブラケットに固定。さらにブラケットは120mmファン左右末端にある各2本のネジと、フレーム角部(右サイドパネル側)にある各2本のネジ(計8本)により固定されていた。
なおブラケットには140mmファン2基に換装が可能。ラジエーターは120/140/240/280/360mmの各サイズが搭載できる。
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どうしても組み込み後は内部が狭くなるため、付属の「1-to-3 fan daisy-chain cable」を使い、コネクタの節約とケーブルの取り回しを上手くやりくりしたい
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冷却ファンレイアウト(2):リアファン
- 冷却ファン:120mm x1基(厚さ16mmまで:側面ファンおよびラジエーターブラケットに360mmサイズラジエーター装着時)
リアパネルで最も専有面積が広い、冷却ファン増設スペース。ハニカム状に打ち抜かれた通気孔部には、120mmファンが1基増設できる。なお若干の注意書きがあり、次に紹介するサイドファン(左側面)またはトップ面のブラケット(製品サイトではラジエーターブラケット表記)に360mmサイズラジエーターを搭載する場合は、厚さ16mmまでの冷却ファンが搭載可能とされる。
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特殊な内部設計ながら排気はリアが基本。構成次第で自然排気状態も可能だが、できれば内部のエアフローをスムーズに"整頓する”排気ファンは用意したい
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冷却ファンレイアウト(3):サイドファンブラケット(右側面)
- 冷却ファン:120mm x3基
- ラジエーター:120/240/360mmサイズ
右側面の下部には、左右各2本のネジで冷却ファン増設用ブラケットが固定されている。ここには120mmファンが3基搭載可能。ラジエーターも120/240/360mmサイズが設置できる。ちなみにこのラインには、右エリアにCPUソケット、左エリアに電源ユニットが位置し、グラフィックスカードは上段になるため、直接的なエアフローのターゲットからは外れている。ただ中央にメモリスロットがあるため、常時風を当てる事は可能。ピンポイントではなく、マザーボード全体に風を当てるといった考え方が正解かもしれない。
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右側面のサイドファンブラケットは外気を取り込む吸気が想定されている
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サイドファンブラケット上部にネジ留めされているのは、グラフィックスカードを支える「Graphics card brace」。利用方法については後ほど解説しよう
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冷却ファンレイアウト(4):サイドファンブラケット(左側面)
- 冷却ファン:80mm x4基(80mm x2基:MicroATX構成時)
左側面の上段にも冷却ファンが増設できる。搭載できるのは80mmファンで、Mini-ITX/Mini-DTX構成では最大4基、MicroATX構成では最大2基がマウントできる。想定用途は内部の熱を排出する外排気となり、リアの120mmファン増設スペースと合わせて計2箇所で排気を行う。ただしいずれもオプション扱いで、構成次第とは言えどちらかには設置しておきたいところだろう。
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MicroATX規格マザーボードを固定すると、ちょうど左側2基分の搭載エリアまで基板が専有。右側2基の搭載スペースだけが利用できる
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