まもなく登場がウワサされているNVIDIAの次世代GPUですが、そのあたりはいかがでしょうか。
もちろん、話はしていますが言えない事が多いです(笑)。ただ、上位のGPUではATX 3.1とPCI Express 5.1に対応し12V-2×6コネクタを装備する1,000W以上の電源ユニットが必要になるでしょう。
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PCの消費電力は上がる傾向ですが、電源メーカーにとっては歓迎すべきことでしょうか。
はい、我々電源ユニットメーカーにとっては、容量の大きい電源ユニットが売れるので嬉しいですね。そのためには、より電源効率のよいロスの少ない製品を開発し続けなくてはいけません。
電源効率の話が出たので伺います。電源ユニットの良し悪しを決める際に80 PLUSの認証レベルを基準とする場合もありますが、正しいのでしょうか。
80 PLUSはあくまで変換効率の指標で、電源ユニットの品質を表すものではありません。ただ、より変換効率の高いPlatinumやTitanium認定を取得するには、それなりに高価な部材を使う必要があるため、結果的に上位認証の電源ユニットは品質が高くなるという傾向はあるでしょう。
Seasonic製電源ユニットをはじめ近年では新しい指標のCybenetics ETAを採用するメーカーも増えています。
理由は2つあります。80 PLUSの検査項目は3~4ほどですが、Cybenetics社が提供するCybenetics認証は実に細かく、効率やノイズだけでなく電圧レギュレーション、リップル、その他の重要なデータを最小負荷から最大負荷まで、1,450通り以上の組み合わせで検証します。よりユーザーの環境に近いテストとも言えますので、電源ユニットの素性をより明確に把握できるわけです。もうひとつはコストです。80 PLUSの認証を受けるには1モデルにつき約7,500ドルの費用がかかりますが、Cybeneticsはずっと安いです。
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今後はCybenetics認証が指標基準となりそうですね。
より正確なのはCybenetics認証ですが、80 PLUSについても、ユーザーの認知度が高いため依然として必要でしょう。ちなみにSeasonicは、Cybenetics認定プログラムの立ち上げから協力関係にあるため認証費用については優遇されており、年間契約になっています。
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続いて開発や設計について教えてください。電源ユニット開発において苦労する点はどこですか。
内部構造の設計です。どのパーツをどこに配置するのかという点に最も多くの時間を使います。また個々のパーツ性能は高いのに、組み合わせると予想外のトラブルが発生する場合も多く、その場合は修正対応を繰り返すことになりますね。
パーツのレイアウトを決める際に、電源ユニットの奥行きは最初に決めてしまうのでしょうか。
ある程度の数字を前提として進めるのですが、例えば当初140mmに設定したところ設計の途中でどうしても収まらなくなった・・・という事もありますね。余談ですが、現在は奥行125mmのATX電源を開発中です。
電源ユニット1シリーズの開発期間はどれくらいかかりますか。
短いもので半年、長いもので1年程度です。例えば「FOCUS V4 GX」シリーズでは、発売までに約1年かかっています。
内蔵ファンを選ぶ基準はどこですか。
まず奥行によりファンのサイズが決まります。最近は、静音性能を重視する傾向があるため、大部分のモデルがFDB(高性能流体動圧軸受)ファンですが、中にはDBB(ダブルボールベアリング)ファン採用品もあります。
ファンを製造しているメーカーはどこでしょうか。
という組み込み向けファン専門のメーカーです。著名なメーカーから販売されているファンやグラフィクスカード用冷却ファンの製造も行っています。
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| 中国・湖南省にあるファン専門メーカーのHONGHUA TECH。数多くのメーカーと取引があるファン製造の大手だという |
よく「日本メーカー製コンデンサ採用」をアピールする電源ユニットが多いですが、具体的にどこが優れているのでしょうか。
まず日本メーカー製コンデンサは、耐久性、安定性に優れています。また、某海外製のコンデンサでは、スペックシート通りの性能が出ないことが多々ありますが、日本メーカー製コンデンサはスペックシート通りの性能でしっかりと動作するという信頼性があります。我々は「3コン」と呼んでいますが、ニチコン、ルビコン、ケミコンの「3コン」が主要な採用メーカーです。
最新製品の「FOCUS V4 GX」シリーズでも採用される最新技術「OptiSink」について教えてください。
表面実装の小型MOSFETと再設計されたPCBを組み合わせることで、密度を48%削減し内部スペースに余裕を作り出します。これにより、冷却ファンのエアフロー効率が大幅に改善し、電源ユニットの安定性や耐久性を飛躍的に向上させることができました。
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| COMPUTEX TAIPEI 2024の会場でも展示されていたOptiSink Designを用いたPFC回路のサンプル | |
さらに信頼性を向上させる事に成功したんですね。
それだけではありません。自動表面実装技術(SMT)を採用することで、これまで手作業で行っていたMOSFETなどのはんだ付け作業を完全自動化しました。人為的なミスによる不具合を防止するとともに、ネジ、サーマルパッド、ビードコア、ワッシャーを使う数量も各段に減らしています。そのほか自動化することでラインの管理がしやすいというメリットもあります。
「OptiSink」採用品は今後も増えていくのでしょうか。
「FOCUS V4 GX」や「CORE V2」以外にも、今後発売される新型電源ユニットには基本的に採用される予定です。
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最後に、日本のユーザーに一言お願いします。
いつもSeasonicの電源ユニットを使って頂きありがとうございます。Seasonicが目指す品質重視の考え方は、日本の細部までこだわるモノ作りの精神と共通している部分が多いと考えています。Seasonicブランドも、これまで通り品質に妥協することなく、より日本のユーザーと共感できるように努力していきます。
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提供:Sea Sonic Electronics シリアルテックジャパン株式会社