P/Q analysis
まずは一般的な冷却ファンの性能を表すP/Qチャート(P/Qカーブ)からNF-A12x25 G2の優位性を見ていこう。縦軸は静圧(mmH2O)、横軸は風量(㎥/h)で、グラフの青が第1世代、黄緑が第2世代を表している。

赤い丸で囲んだ部分に注目すると、上から水冷クーラー(ラジエーター)搭載時、空冷クーラー搭載時、ケースファンとしての使用時をそれぞれ表し、いずれも第1世代の青線を上回っている事が分かる。
Water cooling radiator performance
次に水冷ラジエーター搭載時の性能を見ていこう。棒グラフを補足する解説には、第2世代が水冷ラジエーターに対する性能向上は最も重要である旨が記載されている。現在空冷クーラーのみをラインナップするNoctuaだが、
COMPUTEX TAIPEI 2025や秋葉原で開催されたNoctua初のファンミーティング
「Noctua Vision」、さらに
エルミタの独自インタビューでも、Noctuaが水冷クーラーを近くリリースしようとしている事は明らか。頑なに空冷にこだわり続けてきたNoctuaが、新たな世界へ足を踏み入れようとしている。

検証環境は120x49mmラジエターを用い、CPUに200Wの負荷状態をかけた場合の温度を表示している。回転数で上回る第1世代の40.2℃に対し、第2世代は36.7℃という結果になった。さらにPWM制御における調整により、動作音も約1.5~3.5dBA静音化を果たしているという。
Heatsink performance
次は、Noctuaの本業ともいえる空冷クーラーの検証結果を見ていこう。今回のサンプルには、2019年に詳細なレビューを行った
「NH-U12A」を使用しており、検証環境は水冷クーラーと同様で、負荷は200Wに設定している。

この結果を受けて、Noctuaでは冷却性能(差は-1℃)よりも静音性を重視しているという。グラフには表れていないものの、第2世代への換装によって、約2~2.5dBAの静音化が可能とされている。空冷クーラーでの使用を考えている自作派も多いと思うが、動作音の低減にも大いに期待できそうだ。
Case cooling performance
汎用ケースファンとしての適性はどうだろう。グラフでは第1世代より+8.2㎥/hの風量をアピール。さらに、騒音値も1~2dBA低く抑えて運用できるという。風量がアップし、騒音がダウンするとは、まさに理想的な結果と言えるだろう。
Other applications
近頃では各メーカーとのコラボレーションモデル展開も積極的だが、VGAクーラーとしての適性も興味深い。ここでは2024年4月にリリースされた
「ASUS GeForce RTX 4080 SUPER 16GB GDDR6X Noctua OC Edition」に搭載されていた第1世代を、第2世代に換装。GPUコア温度が-2.6℃低下するという良好な結果を得ている。これを受け、
ASUS「GeForce RTX 5080 16GB GDDR7 Noctua OC Edition」の搭載ファンとして"最適な選択肢”である事を確認したという。
Noctuaが描くこれからの冷却のカタチ
頑なに空冷クーラーにこだわり続けてきたNoctuaが、ここへきて方向転換を図ろうとしている。2024年のCOMPUTEXでは、ひと味変わったオールインワン型水冷ユニットのコンセプトモデル「Thermosiphon development project」を公開。さらに翌年のブースでは、ポンプ音を抑えるために吸音フォーム「3-layer Soundproofing」を装着したオールインワン型水冷ユニットを発表した。
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COMPUTEX TAIPEI 2025のブースに出展されたAIO水冷のラジエーターには、NF-A12x25 G2が搭載されていた
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エルミタ取材班が開発の経緯を取材したところ、Noctuaは「空冷クーラーではサイズに限界があり、これ以上の性能向上が難しくなってきた」と、その理由を語ってくれた。とはいえ、そこはNoctua。単に既存のオールインワン型水冷ユニットに冷却ファンを付け替えるだけのようなことはしない。ポンプの動作音を抑える工夫に注目したのも、いかにもNoctuaらしいところだ。ただ、発売まではまだ時間がかかる見込みで、今後の動向を引き続き見守りたい。

今回は、第2世代へ移行した「NF-A12x25 G2」について概要をお伝えしたが、実際の冷却テストにはまだ至っていない。とはいえ、ようやく国内での流通が始まったばかりで、これから多くの検証結果がネット上にあふれることだろう。もちろん、折に触れてエルミタでも検証を行う予定だ。

さらに今後は、G2を搭載した電源ユニットやVGAクーラーの発売も期待される。こうして熱心な自作派たちが製品を手に取り、フィードバックを重ねていくことで、Noctuaは市場とともに、ますます進化を続けていくだろう。
協力:Noctua