初回ロットの売れ行き好調なDeepCool「AN600」
あれもこれもの値上げラッシュ。新型コロナウイルスや世界情勢不安そして円安まで、その要因はいくつも思い浮かぶワケだが、我らPCパーツ業界も決して他人事ではなく、否応なしに物価高を感じるようになった。(にわかに怪しげだが)半導体不足が理由だったグラフィックスカードの価格急騰はどうにか落ちついたものの、コスト上昇によるPCパーツ価格の売価設定はこれまでの物差しを改める、ひとつの転機になった。
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DeepCool「AN600」(型番:R-AN600-BKNNMN-G)
市場想定売価税込8,280円(2023年9月22日発売)製品情報(Deepcool / 株式会社アユート)
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今回取り上げるDeepCool「AN600」の市場想定売価は税込8,280円。敢えて言うなら、ひと頃の普及価格帯PCケース1台と同じ売価の小型CPUクーラーだ。ちなみに先に検証を行ったハイエンド志向のサイドフロー型CPUクーラー
「ASSASSIN IV」は想定売価税込16,180円だから、DeepCoolの値付け自体は"そう偏ってはおらず言うなれば順当。やはり改めるべきは筆者の物価に対するズレらしい。これに慣れるまでには、もう少し時間が掛かりそうだ。

価格の話ばかりではつまらないので、ここから本題に戻ろう。今回AN600を取り上げる大きな理由は、自作PCパーツ業界の中で最も元気のいいメーカーのひとつである、DeepCoolの最新作であること。先に名前を出したASSASSIN IVをはじめ、前評判の高い製品のリリースが続いている事はご存じの通りだ。
快進撃のきっかけは
「AK400」だろうが、AN600が発売されたことで、ハイエンド、ミドルレンジ、ローエンド(?)の3つが出揃い、ライバル他社に目を向けさせない盤石な体制が完成した。エルミタではいずれも詳細検証をお届けしているだけに、AN600を取り上げる事は言わば必達事項というワケだ。

なおエルミタアキバ取材班によると、9月22日の発売以降、ある販売店では初回ロットが早々に完売。執筆中の今頃はセカンドロットが流通している最中で、売れ行きは前評判に違わぬ好調な滑り出しのようだ。
スペック表に見るDeepCool「AN600」
評価サンプルに触れるまえに、スペック表からAN600の概要を確認しておこう。対応ソケットはIntel LGA1700/1200/1151/1150/1155、AMD Socket AM4/AM5。冷却スタイルはトップフロー型で、上部に120mmファンを搭載し、受熱ベース方向に風を当てるスタイルだ。ちなみに冷却ファンにはホワイトLEDも内蔵されているらしい。
冷却性能は後半セッションでじっくり検証するが、対応TDPは180Wとされている。近年、小型CPUクーラーの高性能化は著しいが、AN600も最新モデルとあって(そして決して安価ではない)イマドキの人気プラットフォームに対して十分な性能を発揮してくれる事を期待したい。
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DeepCool「AN600」の洗練されたパッケージデザイン。エメラルドグリーンの差し色が、DeepCoolブランドをコッソリ主張している
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なおパッケージサイズは実測で、幅約147mm、奥行き約150mm、高さ約121mmで、本体同様コンパクトな設計。「ASSASSIN IV」の腰巻きスタイルではないが、ホワイト基調でいかにも洗練された清潔感のあるデザインは好感が持てる。