PCへの組み込み方法を確認したところで、ここからはCORSAIR「A115」の気になる冷却性能をチェックしていこう。テスト用CPUには第14世代Intel CoreプロセッサのハイエンドモデルCore i7-14700とフラッグシップモデルCore i9-14900Kを用意し、マザーボードにはIntel Z790チップセットを採用するASRock「Z790 NOVA WiFi」を使用した。
またストレステストは「OCCT 12.1.15:CPU:データセット大」と「Cinebench 2024:30 minutes(Test Stability)」の2種類で計測を行い、CPU温度はCPU Packageの数値を、騒音値はデータログ機能を備えた騒音計アズワン「TM-103」をCPUクーラーから30cmの距離に設置した。
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| Power Limitの設定はUEFI BIOSの「Long Duration Power Limit」と「Short Duration Power Limit」を直接設定している |
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| Pコアが8コア/16スレッド、Eコアが12コア/12スレッドのハイエンドCPU Core i7-14700 | |
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| Pコアが8コア/16スレッド、Eコアが16コア/16スレッドのフラッグシップCPU Core i9-14900Kでも検証を行った | |
まずはCPUにCore i7-14700を使用し、PL1/PL2ともMaximum Turbo Powerの219Wに設定した場合の冷却性能を確認していこう。なおCPU温度(CPU Package)については、メモリクリアランスの項目で解説した「VENGEANCE RGB DDR5」を想定して、メモリ側の冷却ファンを上方に約20mmスライドした状態でも計測を実施している。
「OCCT 12.1.15」実行時の温度は73℃前後、「CINEBENCH 2024」実行時でも76℃前後で、Maximum Turbo Powerの設定でもCore i7-14700を完全に冷やし切ることができる。またPackage Powerは設定値通り219Wでほぼフラットなグラフ。動作クロックもPコアが5,000MHz前後、Eコアが4,000MHz前後で安定しており、サーマルスロットリングも発生していないことがわかる。ちなみに上方にスライドした状態だと平均温度は「OCCT 12.1.15」で約1.6℃、「CINEBENCH 2024」では約1.5℃高くなっており、わずかだが冷却性能に影響があることがわかる。
ファン回転数はいずれも公称最高値に近い1,600rpm前後まで上昇している。冷却性能にはまだ余力があるため、Core i7-14700をMaximum Turbo Powerで動作させる場合はもう少し回転数を落としても問題ないだろう。またノイズレベルはおおむね43dBA台で推移しており、風切り音もはっきりと聞こえてくる。ただし、ファンサイズが大きく、低音が中心ということもあり、それほど耳障りに感じることはなかった。
Max Turbo Powerが219WのCore i7-14700の発熱を完全に押さえ込むことができたCORSAIR「A115」。続いて、第14世代Intel Coreプロセッサの中でも特に人気の高いCore i7-14700Kを想定し、PL1/PL2=253Wに設定した状態でもチェックを進めていこう。なおCPU温度(CPU Package)については、こちらもメモリ側の冷却ファンを上方に約20mmスライドした状態でも計測を実施している。
CPU温度は「OCCT 12.1.15」実行時で80℃前後、「Cinebench 2024」実行時は85℃前後で、PL1/PL2=219Wの設定からはそれぞれ約7℃と約9℃上昇している。ただし、Package Powerはいずれも253W、動作クロックもPコアが5,200MHz前後、Eコアが4,100MHz前後で安定しており、こちらも冷却性能に問題はない。また上方スライド時は「OCCT 12.1.15」「CINEBENCH 2024」とも平均温度は約1℃高くなっている。ここまでの結果を見る限り、冷却ファンをずらすことでヒートシンク全体に風が当たらなくなる影響はわずかだが確実にあるようだ。
ファン回転数はPL1/PL2=219Wの設定と同じく1,600rpm前後で、ノイズレベルもおおむね43dBA台で推移している。さすがに静音の範疇には入らないが、2,000rpmを大きく上回る高速ファンを搭載し、ノイズレベルが50dBAを超えるハイエンドオールインワン型水冷ユニットに比べると明らかに静かだった。