受熱ベースとヒートパイプ
「手裏剣弐」とは大きく異なるCPUクーラー底面部の設計。受熱ベースプレートはヒートシンクに囲まれるように半身が埋もれ、そこからφ6mmヒートパイプが4本搭載されている。

受熱ベースプレートは銅製で、CPUに接触する面は実測で約50x40mm。厚さは最厚部で約5mm。素材は銅製で、先に触れた通り腐食を防止するニッケルメッキ処理が施されている。なお段差が設けられた低い部分の穴は、マウンティングプレート固定用のネジ穴になる。

またUの字状に曲げ加工が施されたφ6mmのヒートパイプは2本がセットになり、互いに左右(両側)のヒートシンクに貫通するようレイアウトされている。受熱ベースプレートから吸い上げた熱を放熱フィン全体に拡散させる重要な役割を担い、CPUクーラーにとっては冷却性能を決めるひとつとして、無くてはならない存在だ。
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冷却ファンを外すと、ヒートパイプのレイアウトが非常によく分かる
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冷却性能を向上させた「KAZE FLEX II 92 SLIM AH PWM」
SHURIKEN3に搭載される冷却ファンは92mmの
「KAZE FLEX II 92 SLIM AH PWM」だ。資料によると、SHURIKEN3のために開発された
新開発カスタムファンとされている。余談だが、歴代のサイズオリジナルCPUクーラーでもヒートシンクに合わせてチューンされた冷却ファンを用意し、そのままカタログモデルとして市販化されるパターンが珍しくない。

ちなみに編集部に届けられた評価サンプルには
「KAZE-FLEX 92 Slim PWM 2500rpm」(型番:KF9215FD25-P)も同梱されていた。サイズS氏はこれを
通常ファンと呼んでいたが、SHURIKEN3開発時は、KAZE-FLEX 92 Slim PWM 2500rpmでテストが行われていたようだ。結果的にKAZE FLEX II 92 SLIM AH PWMが採用されたワケだが、どうやら従来モデルでは納得のいく結果が得られず、
新開発カスタムファンであるKAZE FLEX II 92 SLIM AH PWMになったらしい。当然通常ファンの同梱は比較テスト用というワケで、さしずめサイズS氏の自信の表れといったところだろう。
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サイズS氏が"標準ファン”と呼ぶ「KAZE-FLEX 92 Slim PWM 2500rpm」(型番:KF9215FD25-P)
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サイズS氏によると、性能を引き上げているのは、フレーム側面の「一部開放状態」が最大の要因らしい。両者を比べると、いずれも11枚羽で形状も同じように見える。ただし側面の開放状態は誰の目にも確かで、カット部からブレードの一部が露出している。
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両者を並べて見るとフレーム側面の開放状態がよく分かる
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これについて、ロープロファイルにしてトップフロー型CPUクーラーの泣き所である、吹きつけによる背圧の改善が目的であろうとアタリを付けていた。しかしサイズの製品アナウンス資料によると「フレームにスリットを入れることにより、ヒートシンクに溜まった熱を拡散し冷却能力がアップ」(サイズ製品アナウンス資料より抜粋)と記載されている。この一文だけでは語り尽くせないはずだが、少なくともSHURIKEN3のヒートシンク形状とのマッチングでは、側面の開放状態が最大限の性能を引き上げる結果になっている事は間違いないだろう。
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フレーム側面を開放状態にした「KAZE-FLEX 92 Slim PWM 2500rpm」(型番:KF9215FD25-P)
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