PPT162W設定時の冷却性能
テストセッションの最後は、Ryzen 9 9900Xを想定したPPT162W設定での挙動を見ていこう。これまでのテストに比べれば、若干余裕のあるPPT設定になっている。
設定値通りPackage Powerが160Wを超えるChinebenchでも、CPU温度は
65℃程度。150W未満のOCCT実行時は
60℃前後に留まった。いずれもPackage Powerおよび動作クロックは安定しており、まったく問題なく冷却できていることが分かる。
PPT162W設定時のファン・ポンプ回転数と騒音値
ファン回転数が最大でも
1,300rpmであることから、動作音はいずれも
40dBA以下に留まった。バラック状態でもファンによる騒音はそれほど気にならず、むしろポンプの稼働音の方が目立つくらい。アイドル時との差もほとんどなく、PCケースに組み込んだ状態なら、なおさら騒音源として意識することはないはずだ。
十分な冷却性能と扱いやすさを兼ね備えたお買い得モデル
イマドキな装飾をバッサリと切り捨てた「KURO-AIOWC360/V2」は、まさに質実剛健を地で行く存在。飾り気よりも純粋な性能とコストパフォーマンスを追求する、本来の玄人志向っぽさが光るプロダクトと言える。
そしてさすがAsetek製のポンプ・ラジエーターを採用するだけはあり、ビジュアルだけでなく性能面でも問題なし。ミドル~ハイエンドCPUを無理なく静かに冷やせるほか、ウルトラハイエンドCPUの発熱も抑え込めていた。
ただしウルトラハイエンド環境ではファンの騒音が無視できないレベルに達していたため、どうしても気になる場合は(保証対象外ながら)ファンを換装してしまうという手もあるだろう。
また、実際にシステムに組み込む過程で感じたのは、とにかく扱いやすい製品であること。オールインワン型水冷ユニットの中には、何種類ものリテンションやネジ類が付属する製品が少なくないが、「KURO-AIOWC/V2」シリーズはネジ類が共通化されているため、組み合わせに悩まされる心配がない。グリスは塗布済み、ファンの取り付けやマザーボードへの装着の際も、手厚い日本語マニュアルを見ながら迷わず組める。
特にオールインワン型水冷ユニット初心者にとって頼もしい要素が満載であり、さらに安価とあっては文句なし。手頃なエントリー製品としてオススメできる条件が揃った佳作だ。
提供:玄人志向