「K4」のパフォーマンスをRyzen 9 7950X3Dでチェック

続いてRyzen 9 7950X3Dによるチェックを進めていこう。AMDからはオールインワン型水冷ユニットとの組み合わせが推奨されている「K4」には厳しいテストだが、どの程度パフォーマンスを引き出すことができるのか。早速検証を進めていこう。なおストレステストや騒音値の計測はCore i7-13700と全く同じ条件で行っている。

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(CAP)Ryzen 9 7950X3DのTDPは125Wと、Ryzen 9 7950XやRyzen 9 7900Xの170Wに比べると控えめ。ただし、最高温度も89℃に低下しており、熱処理の難しさはあまり変わらない
CPU温度計測

「OCCT 11.0.23」実行時のPackage Powerは約85W、CPUの温度も途中何度か70℃まで上昇するシーンはあるものの、おおむね
60℃前後で推移する。一方、動作クロックは全コアとも4.7~5.0GHzまで上昇し、「OCCT 11.0.23」に関してはまだまだ余力が十分残されている。
続いて「CINEBENCH R23」の結果を確認すると、Package Powerは135W前後で「OCCT 11.0.23」から約50Wも上昇。CPUの温度も最高温度に近い
87~88℃で推移する。とは言え、動作クロックは全コア4.75GHzまで上昇し、以前360mmラジエーターのオールインワン型水冷ユニットを搭載した場合と変わらず。マルチコアテストのスコアもほぼ同等だったことから、パフォーマンスは十分引き出すことができている。
冷却ファン回転数と騒音値

「CINEBENCH R23」実行時のファンはフル回転の
1,650rpm前後、騒音値は
43dBA前後でCore i7-13700の「240-280mm Liquid Cooler」と同じ結果。また「OCCT 11.0.23」ではファンの回転数は
900~1,300rpmの間で大きく変動するが、騒音値は最大でも
36.9dBAで頭打ちになり、風切り音はほとんど聞こえなかった。
ポイント別温度とサーモグラフィの結果
テストセッションのラストは、非接触型デジタル温度計によるヒートシンクのポイント別温度と、サーモグラフィの結果をチェックしておこう。CPUはCore i7-13700を使用し、「CPU Cooler Type」は「240-280mm Liquid Cooler」に設定。ストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使用している。
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「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」実行時のポイント別温度
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CPUの直上にあるベースプレート上部の温度が38.9℃で最も高く、ヒートシンクの下側では約33℃、上側では約26℃に低下する。また中央部と側面部では、側面部の温度が低く、CPUソケットから離れるに従って温度が下がる理想的な結果になった。
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アイドル時のサーモグラフィ結果
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高負荷時のサーモグラフィ結果
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続いてサーモグラフィの結果を確認すると、ヒートパイプ部分の温度が周辺のヒートシンクより明らかに高く、CPUから発生した熱が移動している様子が見て取れる。またポイント別温度計測の結果と同様、ヒートシンクの温度はCPUに近い下のエリアがより高くなっている事も確認できた。
総論:実は「セオリー通り」の冷却手法
PC COOLER K4のキモだった130mm冷却ファンは、実に功を奏している。隣接するメモリスロットに干渉せず、全高もミドルタワーPCケースの平均値に収め、決して力任せではなくシングルファンで高い冷却性能を得るためにできること。これらの課題を一気に解決させた130mm冷却ファンは、多くの選択肢がある3,000円台前半のサイドフロー型CPUクーラー市場に、一石を投じる事になるだろう。

冷却性能の高さは検証結果により明らかで、唯一懸念される130mm冷却ファンの回転音および風切り音は、決して不快に感じる事は無い範囲で収められている。あとは改良された「第3世代ダイレクトタッチテクノロジー」が性能を押し上げた。これだけの条件を揃えてきたK4。ライバル達にとって、厄介な存在になるに違いない。
協力:株式会社サイズ