丹念に彫り込まれた受熱ベースとヒートパイプ
アピールポイントが豊富なRZ620だが、受熱ベースプレートにも詳細な注釈が付けられている。まずはCPUと直接接触し、熱を吸い上げる受熱ベースプレート(実測約40x38mm)を確認してみよう。資料によると銅製ベースプレートのテクスチャーには、ミリ単位のエングレービング加工が施されているという。複雑かつ緻密なディテールはRZ620の精密さを表すひとつの要素であり、量産品でありながら丁寧に製造されている事が窺える。

ベースプレート厚は約4mm。これにφ6mmヒートパイプ6本分の溝を設け、同じく溝が設けられたプレートで挟み込み、密着率を高めた状態で受熱ベースプレートは構成されている。冷却性能を左右するポイントとして密着率と工作精度は最も重要であり、製品の善し悪しを決定付けている。

なおヒートパイプは、平置き・縦置きの設置方向による影響を受けにくい
「アンチグラビティヒートパイプ(antigravity heat pipe)」を採用。ロケーションにとらわれず、常に最大の熱交換パフォーマンスが発揮できるとされる。
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アンチグラビティヒートパイプ(antigravity heat pipe)は受熱ベースプレートを中心に、左右のヒートシンクが正対するよう曲げ加工が施されている
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3つのモードが選択できる搭載ファン
冷却ファンは"シングル構成で任意増設”という仕様が多い中、RZ620は120mmサイズ(25mm厚)のデュアル構成がデフォルト仕様。根っからのハイエンド志向の性格を前面に押し出す格好だ。

従来のこのスタイル(デュアルファン構成)は、風量で冷やすというやや大味な印象が付きまとうが、RZ620は3モードセレクトスイッチ付きの電源ケーブルを介し、静音から高冷却までさまざまなニーズに応える事ができる。
具体的には
「H:ターボモード」2,200±10rpm、
「M:パフォーマンスモード」500~2,000±10%rpm、
「L:サイレントモード」1,800±10%rpmが任意選択可能で、中央の「M」のみPWM対応。「H」と「L」はそれぞれ固定での運用になる。なお「H」と「L」の回転差が400rpm程度というあたり冷却性能の違いはやや気になる所だが、後半のテストセッションでしっかりと確認しよう。

その他の特徴としてPC COOLER曰く、ブレード形状と昇圧フレームは空気力学に基づく設計により、風量と静圧を最適化。多少解りにくいところはあるものの、無闇な高回転を必要とせず風量が得られる形状という解釈だろう。なおフレームの四隅には「振動減衰パッド」が装着され、振動吸収効果により騒音の発生を極力抑える事ができている。この辺りの装備は抜かりがない。