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| 仮想Ryzen 9 9900Xということで、PPTを162W、TDCを120A、EDCを180Aに設定した状態でも計測を行った |
まず「OCCT 13.1.16」の結果を確認するとPackage Powerは140W前後で推移し、CPU温度は78℃前後までしか上がらなかった。またPackage PowerがPPT通りの160W前後まで上昇する「Cinebench 2024」でもCPU温度はおおむね83℃前後、突発的に温度が上がるシーンでも最高温度は88℃で、Ryzen 9 9900Xなら「IS-67-XT BLACK」でも余裕を持った運用ができるだろう。
「Cinebench 2024」ではこれまでのテストと同様、ファン回転数は2,000~2,100rpm前後で、騒音値も約44dBAまで上昇した。ただし、「OCCT 13.1.16」ではファン回転数は1,700~1,800rpm前後、騒音値も41.7dBAまで低下し、明らかに風切音も小さくなった。
IS-67-XT BLACKを検証した結果、冷却性能の限界はPackage Powerでおおよそ180~190W前後にあることが分かった。省スペース型の小型PCでは、CPU選びにおけるユーザー自身の見極めが何より重要になる。性能ギリギリを攻めるような使い方は一般的とは言いがたく、本稿をはじめ、国内外の検証記事を参考にしながらパーツ選定を進めるのが賢明だろう。
ID-COOLINGは、2013年のCOMPUTEXでデビューした、キャリア10年を超える中堅メーカー。日本国内での知名度はまだそれほど高くないものの、Webサイトには多くのラインナップがある。堅実な製品をコツコツと市場に投入し、安定した供給を続けられれば、広く認知される日もそう遠くはないだろう。
協力:ID-COOLING