「Adaptive Boost Technology」で全コア5.10GHz動作を実現
第11世代Intel Coreプロセッサの中でも、最上位に位置づけられるCore i9-11900K/KFには最新ブースト機能
「Adaptive Boost Technology」が追加された。すべてのコアがアクティブになる状態でも5.10GHzの高クロック動作を実現する一方、電源回路への負荷も大きい機能だが、「Z590 Taichi」で安定動作させることはできるのか。早速試していこう。
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「Adaptive Boost Technology」を有効にするには、「OC Tweaker」の「Intel Adaptive Boost Technology」を「Enabled」にする必要がある
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全コア5.10GHzで動作。途中でクロックが低下することもなかった
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シングルスレッド処理時の動作に変更はなし
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全コア5.10GHzという高クロック動作を実現するため、「Adaptive Boost Technology」を有効にすると消費電力は実に約90Wも増加。しかし、「90A Smart Power Stage」と「プレミアム90Aパワーチョーク」による堅牢な14フェーズ電源回路を搭載する「Z590 Taichi」では、30分間連続で「CINEBENCH R23」を動作させる負荷テストもクリアでき、動作に問題なし。またマルチコアテストのパフォーマンスはいずれも約4%増加した。
MOSFETの温度をチェック
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CPUソケット上のヒートシンクには付属の30mmファンを増設可能。また40mmファンへの換装にも対応する
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テストセッションのラストは高負荷時のMOSFETの温度をチェックしていこう。「Adaptive Boost Technology」は有効、ストレステストは「CINEBENC R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使い、温度は「HWiNFO 64」を使い取得。なおMOSFET用の増設ファンを搭載した場合でも計測を行っている。
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MOSFET用の増設ファン非搭載
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MOSFET用の増設ファン搭載
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CPUの負荷だけで総合消費電力が400Wを超える、電源回路にはかなり過酷なテストだが、「MOSFET」の温度は最高でも70℃を超えることはなかった。また増設ファンの効果だが、「Z590 Taichi」のヒートシンクにはもともと冷却ファンが組み込まれていることもあり、温度自体は0.5℃と誤差の範囲。ただし、サーモグラフィを見ると上側ヒートシンクの温度は確実に低下している。もともとファンのノイズも低いため、TDP125WクラスのCPUを使う場合は搭載しておいたほうがいいだろう。
ハイエンドマザーボードの中でもトップクラスの拡張性が魅力
今回はASRock「Taichi」シリーズの最新作「Z590 Taichi」の検証を進めてきた。電源回路のフェーズ数はハイエンドモデルとして飛び抜けて多いわけではないが、「90A Smart Power Stage」や「プレミアム90Aパワーチョーク」など、最上位クラスのパーツを組み合わせることで信頼性と耐久性を向上。デュアルファン構成にも対応する大型クーラーや、2オンス銅層を備えた8層PCBなど冷却にもこだわることで、マルチスレッド処理時に強烈な負荷が掛かる「Adaptive Boost Technology」でも全く揺らぐことはなかった。
さらにデイジーチェーンにも対応するThunderbolt 4や、従来の2倍の帯域幅を誇るUSB3.2 Gen.2x2など高速インターフェイスが揃っていることから、特に大容量のデータを扱うことが多い、クリエイティブな作業では大いに力を発揮してくれるだろう。
また高音質なオーディオ回路や、アプリケーションやゲームごとに帯域調整ができる3系統のネットワークなど、ゲーマー向け機能も充実。まさにこれ1枚であらゆる用途に対応することができる万能型のマザーボードの名に恥じない製品に仕上げられていた。
協力:ASRock Incorporation