組み込み方法を確認したところで、ここからはMSI「MAG CORELIQUID M360」の冷却性能をチェックしていこう。CPUはProcessor Base Powerが65WのCore i7-13700と、125WのCore i9-13900Kを用意し、マザーボードにはIntel Z690チップセットを採用するMSI「MEG Z690 UNIFY」を使用。ストレステストは「OCCT 12.1.4:CPU:データセット大」と「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」の2種類で、CPU温度はCPU Packageの数値を、騒音値はデータログ機能を備えた騒音計アズワン「TM-103」をオールインワン型水冷ユニットから30cmの距離に設置して計測を行った。
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| Processor Base Powerが65WのCore i7-13700だが、Power Limitの設定次第では大きく動作クロックを引き上げることができる | |
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| Power Limitを無制限にするとPackage Powerが300Wを超えることもあるCore i9-13900Kでも検証を行った | |
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| ラジエーターに搭載される3基のファンはマザーボードの4pin PWMコネクタに接続するため「FROZR AI Cooling」で制御可能。なお今回はマザーボードのデフォルト設定でテストを実施した |
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| 冷却ファンやウォーターブロックのARGB LEDもマザーボードの3pinヘッダに接続するため「Mystic Light」でカラーや発光パターンを変更できる |
まずはCore i7-13700を定格設定(PL1=65W/PL2=219W)にした場合の冷却性能から確認を進めていこう。
テスト開始直後は「OCCT 12.1.4」で約180W、「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」では220W前後までPackage Powerが上昇するが、約30秒でPL1動作に移行し、いずれのテストでも65W前後まで低下する。コアクロックもPコアが3.3~3.4GHz、Eコアが2.8~2.9GHzで、CPU温度もおおむね50℃未満、最高でも62℃で頭打ちになる。
ファン回転数は、アイドル時が900rpm前後、高負荷時でも1,100rpm前後までしか上がらず、冷却性能にはまだまだ余力が残されている。また騒音値もおおむね36dBA前後で推移しており、バラック状態でもノイズは全く気にならなかった。
Core i7-13700の定格設定(PL1=65W/PL2=219W)では、ファンの回転数がアイドル時とあまり変わらず、「MAG CORELIQUID M360」にとってはやや負荷が軽すぎた。そこで、PL1をMaximum Turbo Powerである219Wに設定した状態でも検証をしてみることにした。
まず「OCCT 12.1.4」の結果を確認すると、Package Powerは150~200W、コアクロックもPコアが4.9GHz、Eコアが3.8GHzに向上しているが、CPU温度はおおむね70~80℃で推移する。さらに「CINEBENCH R23」ではPackage Powerは210~240Wへと増加しているがCPU温度は90℃以下に抑えられている。
「OCCT 12.1.4」のファン回転数は1,600~1,800rpm、ノイズレベルはおおむね43~47dBAまで上昇する。さらに「CINEBENCH R23」では、ファン回転数はフル回転となる1,950rpm前後、ノイズレベルも51dBA前後まで上昇し、風切り音はかなり耳障りに感じた。
ただし、これは「MAG CORELIQUID M360」に限った話ではなく、Package Powerが200Wを超えるような運用をする場合はどのようなオールインワン型水冷ユニットを使用してもほぼ同じ結果になる。それよりもCore i7-13700のCPU性能を最大限に引き出すことができている、冷却性能を褒めるべきだろう。
ちなみに「CINEBENCH R23」のスコアを確認してみたところ、定格設定とPL1/PL2=219W設定では、シングルコアテストは1,984pts→2,002ptsとほぼ変わらなかったが、マルチコアテストは18,215pts→26,819ptsへと約47%もスコアが向上した。
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| 定格設定の「CINEBENCH R23」の結果 |
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| PL1/PL2=219W設定の「CINEBENCH R23」の結果 |