オールインワン型水冷クーラーを搭載してみる
CPUクーラーにはオールインワン型水冷クーラー、
「iCUE LINK TITAN 360 RX RGB」(型番:CW-9061018-WW)をチョイスした。360mmサイズラジエーターには3基の「RX120 RGB」ファン(RGB LEDx8個内蔵)を搭載し、ポンプ部にも20個のRGB LEDが内蔵されている。なお付属のシステムハブは、マザーボードトレイ背面のドライブプレートを利用して設置を行った。
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検証ではウォーターブロックに接続されるチューブは左側に設置しているが、リアファンを増設する場合は右側に取り回すといいだろう
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搭載のし易さはiCUE LINK TITAN 360 RX RGBへの加点だが、FRAME 4000D側も開口部が広く作業はスムーズに進行。特にラジエーター搭載時に触れたInfiniRailシステムは扱い易く、簡単にレールの移動ができる。高い工作精度や設計の良さと相まって、FRAME 4000Dにとっては正に「純正」のAIO水冷クーラーは、カチッと所定の位置に収める事ができた。作業における注意点やメーカーに対する注文も特にみあたらない。
グラフィックスカードを搭載してみる
グラフィックスカードの搭載テストにはNVIDIA「GeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition」を用意。公称サイズは長さ304mm、幅137mm、厚さ61mm、本体重量は実測2,121gのハイエンドモデルだ。

グラフィックスカードの有効スペースは430mmだから、数字からまったく問題なく搭載できる事は分かる。搭載作業自体もシンプルで、必要とする拡張スロット金具3本を外し、ここに3スロットを要するGeForce RTX 4080 SUPER Founders Editionを挿入。PCI Express 5.0スロットへの装着を確認したら、あとはネジ留めを行う。12V-2x6 GPU電源ケーブルは、ボトムカバー(PSUシュラウド)付け根のスルーホールを通し、最も最小限の露出で接続を試みた。

数字通り、搭載後のクリアランスは申し分なく、フロントパネルまでは実測で約130mmを残している。仮にフロントパネル裏へオールインワン型水冷クーラーを搭載した場合でも、平均的な厚さである27mm(ラジエーター)+25mm(冷却ファン)を差し引いたところで約70mmは空きスペースができる。
長尺・重量級グラフィックスカード向け「VGAサポートブラケット」を使ってみる
次に備え付けの
「VGAサポートブラケット」(GPU 垂れ防止スタビライゼーションアーム)を活用してみよう。出荷時よりケーブルシュラウドに装着されたギミックは、長尺・重量級グラフィックスカードの垂れ下がりや歪みを防止する補助装置で、複数の汎用品が流通しており、近頃ではPCケースに標準装備されているパターンも多く見られる。

FRAME 4000Dの装備品であるVGAサポートブラケットは、グラフィックスカードを支えるピンがそのままねじ込み式で、これを緩めることでスリットに合わせて上下に調節ができる。しかしこれが活用できるのは長さ320mm以上のグラフィックスカードに限定され、それ以下ではVGAサポートブラケットまで本体が届かない。そこで活用するのが付属品の
「ミニGPUアンチサグマウント」だ。
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ミニGPUアンチサグマウントにより、後方へ約60mm移動させたVGAサポートブラケット。カード長260mm以下のグラフィックスカードでは使用できないが、"長尺・重量級”から外れるため、不要という解釈だろう
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ミニGPUアンチサグマウントは、VGAサポートブラケットの標準固定位置より後方へ約60mm移動が可能。マザーボードトレイに設けられたネジ穴に「マザーボード/HDDネジ 6-32 UNC;6mm」でネジ留めを行えば、カード長約260mm以上/320mm未満のグラフィックスカードを支える事ができるようになる。
総評:CORSAIR「FRAME 4000D」の「○」と「×」
CORSAIRのPCケースラインナップで中軸を担う4000番台。期待の新モデルは、謳い通り前作を上手に再定義できていたか。本稿の総括として、FRAME 4000Dの「○」なところ、「×」なところを指摘しておこう。

まず○なところは、
トータル的に見た組み込み易さだろう。PCケースの善し悪しをジャッジする重要な要素である「工作精度の高さ」と「無駄のない設計」は際立っている。完全モジュール式設計というだけあって、ボトムカバー(PSUシュラウド)まで取り外しができる徹底ぶりだが、これらの取り外しや組み付け(組み直し)は極めてスムーズ。カチッと収まる感覚から質の高さを感じる事ができた。さらに新たに導入した「InfiniRailシステム」はセールスポイントの筆頭とあって、使い勝手は申し分ない。このスタイルは今後、多くのPCケースに広がっていく可能性があるだろう。

次に×なところは、トップパネルの外しにくさだ。ここまで後方のラバーハンドルを引っ張る力だけでスライドできた事は1度もなく、手のひらでトップパネルの面に触れて、後方にずらす事によりロックを解除するしかなかった。実はスライドでロックが解除できるまで"引っ張ってもちぎれないハンドル”かもしれないが、もう少しロックに緩さがあってもいいように感じた。ちなみにこれは仕様の問題であり、工作精度の悪さではない事は付け加えておこう。

この手の検証でよく使われる「有力な選択肢」や「長く使えるPCケース」といった表現は、もはや使い古された感は否めない。とは言え、実際のところ、そうした評価はおおむね当てはまる。ピラーレスデザインのPCケースが乱立する中にあって、左側面に強化ガラスを採用しているとはいえ、正統派ミドルタワーPCケースとしての本格派スタイルを貫いており、あらゆるシーンにフィットする存在だといえるだろう。
提供:CORSAIR
株式会社アスク