サンドイッチ冷却のシンプルなM.2ヒートシンクはどこまで冷える?
「B650M Pro X3D WiFi」はAMD B650チップ搭載モデルながら、拡張スロットとストレージがともにPCI Express 5.0に対応している点がトピック。最新のPCI Express 5.0対応SSDが運用可能なわけだが、標準装備のヒートシンクはかなり薄くシンプルな構造だ。
ボトムヒートシンクを組み合わせたサンドイッチ冷却で放熱性を向上させるという設計は、どこまで通用するのか。Team「T-FORCE Z540」シリーズの2TBモデル「TM8FF1002T0C129」を搭載し、ストレージベンチマークテストの「CrystalDiskMark 8.0.6」を用いてその際の挙動を確かめてみることにした。
「TM8FF1002T0C129」のスペックは転送速度がシーケンシャル読込最大12,400MB/s、同書込最大11,800MB/s、ランダム読込140万IOPS、同書込140万IOPSというもので、ベンチマーク結果を見るにしっかり性能が出ている。
しかしテストを3回連続で実行したところ、2回目の後半からSSD温度が80℃を上回りサーマルスロットリングが発生。パフォーマンスが制限されていることがグラフからも読み取れる。PCBに熱を逃がすという技ありの設計から、短時間であれば問題なくPCI Express 5.0対応SSDが運用可能なものの、長時間の高い負荷まではカバーし切れないようだ。
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アイドル状態(左)ですでに表面温度が40℃以上になっており、高負荷時には最大70℃ほどに。しかし周囲のPCBに熱がしっかり逃げている様子もうかがえる
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うまくやり繰りしつつハイスペックPCを組もう
電源回路の規模はエントリークラス相当で、相応に補助電源も削減されているという、いわば“削るべきところは削る”のが「B650M Pro X3D WiFi」の設計コンセプト。しかし定格運用ならまったく不安なくRyzen X3Dシリーズが動く信頼性があり、「低コストにRyzen X3Dシリーズを使いたい」というニーズは狙い通りにクリアできている。
さらに(本来サポートしない)PCI Express 5.0に拡張スロットとストレージの両方が対応する点は、Ryzen X3Dシリーズとハイスペックな最新パーツを安く組み合わせたい人にとって、まさに最適な仕様。ともすれば欲張りにも思えるリクエストにスキマな構成で応える、技ありなマザーボードと言える。
やや冷却性能に物足りなさを感じるM.2ヒートシンク、イマドキの高速ポートをもたないリアインターフェイスなど、多少の不足はもとより承知の上。その一方で、CPUやグラフィックスカード、ストレージに加えて8,000MHzの高クロックまでサポートするメモリ周りという、システムのコアになる部分はかなりハイスペック志向だ。
マザーボードで浮いたコストはグラフィックスカードに回してもよく、組み合わせるパーツを考えるのも楽しい。これからRyzen X3Dシリーズでゲーミングマシンを組むなら、こういうお買い得な選択肢があることをぜひ覚えておこう。
提供:ASRock Incorporation