消費電力や温度、動作音、バッテリ駆動時間をチェック
各種パフォーマンスのチェックが完了したところで、「Summit-13-AI+Evo-A2VMTG-4779JP」の消費電力や、負荷時の温度推移、動作音、バッテリ駆動時間といった点を検証していこう。
ストレステストには「Cinebench 2024:Minimum Test Duration:30 minutes」と「3DMark Steel Nomad Stress Test」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置しかつ満充電時の最低値をアイドル時として、それぞれワットチェッカーで計測を行った。
ストレステスト実行時は最大でも62Wで、プロファイルによる違いもそれぞれ発生している。GPUを最大限活用する「3DMark Steel Nomad Light Stress Test」実行時では差が最も大きく、「AI Engine」と「究極のパフォーマンス」では20Wもある。アイドル時においては13Wから約半分の7Wまで「AI Engine」では低下している。バッテリ駆動時には「AI Engine」の設定をしておく方が良いことが消費電力からも確認できる。
続いてストレステスト実行時のCPU、GPUコアの動作クロックと温度も確認しておこう。ストレステストの内容は消費電力の測定時と同様で、各ストレステスト実行時を「HWiNFO64」で計測(室温は約22℃)した。CPUクロックはPコア「P-core 3 Clock [MHz]」、LP E-コア「E-core (LP) 7 Clock [MHz]」を抽出し、CPU温度は「CPU Package [°C]」としている。
まずは「Cinebench 2024」実行時を確認してみると、テスト実行中はどちらも全体を通してPコアが3.2GHz付近で、LP Eコアが3.7GHz付近で動作している。「AI Engine」では、初動でPコアクロックが4.8GHzまで上昇して以降、時折4GHzを超える挙動で緩やかに温度が上昇していき、およそ85°℃前後を維持して動作している。
「究極のパフォーマンス」では、初動のPコアの動作は同じような状況で、Pコア・LP Eコアともにより高いクロックを維持しようとする傾向にある。温度上昇も「AI Engine」より急激で、早い段階でサーマルスロットリングに達しているのが見て取れる。次に「3DMark Steel Nomad Light Stress Test」実行時を確認していこう。GPUクロックは「GPU Clock [MHz]」、GPU温度は「CPU GT Cores (Graphics) [°C]」を抽出している。
GPUコアクロックは、どちらのプロファイルでも全体を通して1,600~1,750MHz動作になるようにクロックが推移するように落ち着いていた。「AI Engine」では、テスト開始直後のみ1,950MHzとなり、その後は1,750MHzへすぐに移行、温度も70℃を超えない範囲で動作をしていた。一方で、「究極のパフォーマンス」では、1,950MHzをある程度維持していたが、あるゾーンを境に急激に落ち込み、温度上昇もそこから緩やかに落ち着いている。消費電力20W程度の差はこの1,950MHzのクロックをしばらく維持していたことによる違いであると考えられる。
なお、今回ストレステストを行っている際に、「究極のパフォーマンス」プロファイルでは、GPUのストレステスト時にエラーで「3DMark Steel Nomad Light Stress Test」が止まってしまうことが少ないながらも発生した。ほかのベンチマークにおいては、エラーが起きる挙動などは一切発生しなかった為、あまり気にすることではないが、もしゲームプレイ時などに急にパフォーマンスが下がった場合には、クロックを落とす挙動に移行している可能性があるかもしれない。
最後はアイドル時とストレステスト実行中の動作音をそれぞれ確認していこう。
全体的に「究極のパフォーマンス」プロファイルではノイズレベルが高くなる傾向。特に「3DMark Steel Nomad Light Stress Test」では「AI Engine」が40.4dBA対し、「究極のパフォーマンス」では46.1dBAとなっている。「Cinebench 2024」はプロファイルで差はなく、CPUがフルロードされるためノイズレベルは47dBA程まで上昇し、音が気になる場面も。アイドル時でもノイズレベルに多少の差が生まれているが、どちらのプロファイルでもファンノイズが気になることはないだろう。さらに「AI Engine」では、冷却ファンが止まるセミファンレス状態となる場合があった。カフェなどで使用する場合は「AI Engine」に設定しておく方が良いだろう。
オフィスワークなら10時間以上の連続駆動が可能
70Whr/4セルリチウムイオンバッテリを搭載し、最大24時間(JEITA 3.0 動画再生時)の公証スペックを持つ「Summit-13-AI+Evo-A2VMTG-4779JP」。実際の作業環境においてどの程度連続動作するのか、Microsoft Office(Microsoft 365)での処理を連続実行した場合の駆動時間を測る「UL Procyon Battery Life Benchmark」を、「AI Engine」プロファイルでテストしてみた。なお、ディスプレイの輝度は50%に設定し、明るさなどを動的に変更する設定はすべてオフに設定。バッテリ残量は評価機では100%に充電されないことが多々あったので、96%の状態より開始した。
テスト結果はバッテリ残2%までで10時間17分という結果。充電なしでも、外出先でWordやExcelといった作業は十分行うことができそうだ。
あらゆるシーンに対応したマルチロールな2-in-1ノートPC
利用シーンにあわせて単なるノートPCだけでなく、タブレット端末のような使用が可能な2-in-1ノートPCの「Summit 13 AI+ Evo A2VM」。この薄型筐体にこれだけの機能・性能を詰め込んでいるのは驚きだ。
Core Ultra 200Vシリーズはハイパースレッディングの廃止とEコアの削減によって、総合的なマルチコア/マルチスレッド数が低下。マルチタスク性能がやや抑えられている点には注意が必要だが、シングル性能と内蔵GPU「Intel Arc Graphics 140V」、32GBメモリの恩恵により、総合的なパフォーマンスは向上している。その分、価格も高価なため、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとっては悩ましいところだろう。
それらを補って余りある魅力と言えるのが、ノートPCとしての快適な操作性だけでなく、イラスト制作や手書きメモといった用途までカバーする活用の幅の広さ。付属の「MSI Pen 2」を最大限に活かすことで、この「Summit 13 AI+ Evo A2VM」はクリエイティブな作業に欠かせないツールになる。それに加えて、本機の美しく高級感のあるデザインもまた、所有欲を満たす見逃せない要素だ。
また、Copilot+ PCに準拠しておりAI機能へ備えることができる。幅広い用途に対応する柔軟性と、薄型ながら優れた性能を兼ね備えたマルチロールなノートPCとして、多くのユーザーにとって魅力的な選択肢となるはずだ。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社