DeepCool「CH260」を使って実際にPCを組み込んでみる
最終セッションでは、CH260に実際の構成パーツを組み込んでいく。これまで各搭載エリアをチェックしてきた中で、小型PCながら限られた容積をうまく活用し、想像以上に“居住性”が確保されているという印象を受けた。ただし、やはりミドルタワーPCケースとは異なる、小型PCならではの気付きや工夫も随所に見られた。

なおマニュアルを改めて確認してみると、いわゆる「搭載手順」といった記載はなく、CH260ならではの特別なルールも見当たらなかった。ここでは自作PCの一般的な手順に沿って組み立てを進めていくが、限られた内部容積ゆえに、状況に応じた臨機応変な対応が求められる場面も出てくる。小型PCならではの特性として、あらためてその点を意識しておきたい。
マザーボードを搭載してみる
搭載手順は決められていないとは言え、まずはマザーボードの搭載がセオリーだろう。搭載テストには
MSI「B850M GAMING PLUS WIFI」を用意した。ホワイト基板のMicroATX規格で、差し色が偶然DeepCoolのカラーと合致。個人的にオススメなSocket AM5マザーボードだ。

マザーボードトレイには、出荷時より合計8本のスタンドオフ(台座)が装着されている。これにマザーボードのマウントホールを合わせ、「Motherboard Screws」でネジ留めを行う。なお作業にあたり、両サイドパネルはもとより、IO Panelも外しているので、ドライバーが入りにくかったり、作業の妨げになることもなかった。搭載が完了したところで、左側面から様子を眺めると、右手フロントパネルまでの距離は実測で約165mmと十分にあり、トップパネルまでは約35mmだった。

ちなみに内部容積が限られた小型PCの場合、マザーボードを固定する前にCPUクーラー(主に空冷)を取り付けておく事が推奨されるパターンがある。CH260では特に推奨されてはいないが、大型なCPUクーラーを選択した場合は、マザーボード上部のネジ留めがしにくくなるため、むしろ“後付け”の方がスムーズに作業できる場合もあるだろう。
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MSI「B850M GAMING PLUS WIFI」を固定する際には、最下段右側のスタンドオフの位置を一段下にずらす必要があった。ネジ留めに入る前に、マザーボードのマウントホールとスタンドオフの位置が正しく合っているかどうか、念のため確認しておこう
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CPUクーラー有効スペースとメンテナンスホール
次にCPUクーラーの有効スペースを実測にて確認してみよう。CPUクーラー有効スペースは公称174mmまで。ここでは強化ガラス製左サイドパネルの内側に見立てたテープを張り、CPUにレーザー距離計を置いた状態で数値を計測した。
結果デジタル表示は171mmを指した。どのPCケースでも多少の誤差は出るため、公称値より数値が低くても気にはならない範囲だろう。そもそも小型PCで高さ170mmのサイドフロー型CPUクーラーが搭載できれば及第点以上であり、174mmとしたのは同社フラッグシップ
「ASSASSIN IV VC VISION」の全高172mmを意識しているのかもしれない。

次に、マザーボードトレイ背面にあるCPUクーラーメンテナンスホールも確認しておこう。CH260では、ちょうどCPUソケットの裏側を塞ぐ位置に「HDD mount」が固定されている。そのため、バックプレートをネジ留めするタイプのCPUクーラーを使用する場合は、この「HDD mount」を一度取り外す必要がある。ただし、SSDやHDDを搭載する際にも取り外すことになるため、特別な手間が増えるわけではない。

計測の結果、CPUクーラーメンテナンスホールは実測で幅約180mm、高さ約130mmだった。小型PCケースとは言え極端に狭いこともなく、平均レベルだろう。MSI「B850M GAMING PLUS WIFI」備え付けのバックプレートは干渉することなく露出できている。
電源ユニットを搭載してみる
電源ユニットはATX規格に対応。マザーボード右横のエリアに固定されている「PSU bracket」を外し、これに電源ユニットをネジ留めしていく。
搭載テストには
DeepCool「PN650D」(型番:PN650D-FC0B-JP-V2)を用意した。ATX 3.1規格に準拠し、12V-2x6コネクタケーブルを標準で装備する。ちなみに外形寸法は幅150mm、奥行き140mm、高さ86mmで、ケーブルは直結式が採用されている。
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「PSU bracket」に電源ユニット付属のインチネジ4本で本体を固定。冷却ファンは右側面から吸気する格好でマウントした
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「PSU bracket」に固定した電源ユニットを所定の位置に戻してネジ留め。最後に内部中継ケーブルを挿せば搭載作業は完了する。ちなみに中継ケーブルが約400mmと長い理由は、電源ユニット側の3pinインレットの上下が製品により異なるため。設計の違いにより、ケーブルが余計に必要な場合を想定しているというワケだ。

なお「PN650D」を搭載した場合、中継コネクタの挿し込み部分が上部へはみ出ているように見えるが、トップパネルに干渉することなく閉じる事ができた。また干渉した場合でも「PSU bracket」の固定位置を下にずらせば回避ができる。ハシゴ状のスリットやネジ穴は、より汎用性を持たせるための仕掛けである事が分かる。
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この手のPCケースではよく見かける内部中継ケーブルの存在。なお電源ユニット内蔵のON/OFFスイッチは操作ができなくなるため、トップパネルを閉じる前にONの状態にしておくことを忘れずに
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「PN650D」を最上段に固定した状態。中継ケーブルのコネクタがトップパネルに干渉する場合は、1段ずつ下げたポジションで調整すればいい
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