AIO水冷ユニット、取り付け前に知っておくべきこと
DeepCoolには以前詳細検証をお届けしたハイエンド空冷
「ASSASSIN IV VC VISION」がある。全高174mmまでの有効スペースを生かし、最強クラスの冷却パフォーマンスを詰め込む選択肢も大いにアリだろう。一方でトップパネル部に最大360mmサイズのラジエーターがマウントできる設計も捨てがたい。なかなか悩ましいところだが、本稿ではオールインワン型水冷ユニット
DeepCool「LQ360」(型番:LQ360-BKLSMW-G-1)を用意した。
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着脱可能な「Fan Bracket」に360mmサイズラジエーターを固定。必要なら開放状態にもできる
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ラジエーターはトップパネルにネジ留めされている「Fan Bracket」に固定。いざとなれば固定したラジエーターごと取り外す事もできる。組み込み作業で邪魔になれば取り払えばいい。天板が開放状態になる設計は、CH260の長所でもある。
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いわば"教科書通り”に「LQ360」を搭載した「完成図」のはずだったが・・・。
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ミドルタワーPCケースと比べると、上下(高さ)の開放スペースはさすがに狭く感じられたものの、ウォーターブロックの取り付けは手順通りに完了。構成パーツを順に組み込んでいくにつれて内部は徐々に手狭になり、いよいよ配線作業に移ろうとした段階で、ラジエーターに搭載された冷却ファンのコネクタが接続できないことが判明した。
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8pinコネクタを接続する前の状態。ラジエーターと電源ユニットがほぼ密着し、冷却ファン側面のコネクタを塞いでいる様子がわかる
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ラジエーターに固定された3基の「FD12 ARGB」は、8pinケーブルによるデイジーチェーン接続に対応している。ただし、このコネクタは接続後にフレームから約5mmはみ出してしまう。この“わずか5mm”が電源ユニットと干渉し、両者をそのままの状態で共存させることができない。そこで唯一の回避策として、電源ユニットのマウントポジションを下げることにした。
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電源ユニット固定用ネジ穴は計7つ。デフォルトの最上段から最下段までは実測で約45mmだった
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吊り下げ式の電源ユニットは、「PSU bracket」によってネジ留めされている。デフォルトでは最上段のネジ穴が使用されていたが、これを7段目まで下げてみたところ、8pinケーブルのコネクタによる約5mmの出っ張りをうまく回避することができた。
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「PSU bracket」を下段に移動して固定することで、8pinコネクタの出っ張りを回避可能。電源ユニットの取付位置を選べる構造は、こうした干渉リスクも想定された設計といえる
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トラブルの原因はこの8pinコネクタの出っ張り。せめて埋め込み型でツライチになっていれば・・・と、思わずにはいられない
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今回の想定外のアクシデントは、検証機として「LQ360」を選択したことに起因するものだった。ラジエーター搭載ファンが一般的な直結式ケーブルであれば、電源ユニットの取り付け位置を変更する必要はなかったはずだ。
もちろん、こうした事前の告知は難しいかもしれないが、構成パーツを同一メーカーで揃えたいと考えるユーザーは少なくない。わずかなスペース不足によって物理的な干渉が生じるとは予想しにくく、本来ユーザーが負担すべきではない部分である。
電源ユニットを移動すれば済む話──というわけでもなく、もし筐体幅にあと10mmの余裕があれば、今回の問題はすべて回避できた。それを思えば、製品に与える印象としては、ややもったいない設計であり、詰めの甘さにも感じてしまう。
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ラジエーター(27mm厚)+冷却ファン(25mm厚)を搭載すると、メモリスロットにも制限が発生。全高約45mmのCORSAIR「VENGEANCE RGB DDR5」を搭載した場合、上空のクリアランスは残り約10mm程度だった
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