Okinos「Mirage 4 ARGB」を使って実際に組み込んでみる
いよいよ最終セッションでは、実機を用いた構成パーツの組み込み作業を行う。ここまで細部を確認してきた限り、モデル特有の凝ったギミックは見受けられないが、それは決してネガティブな要素ではない。むしろ、「Mirage 4 ARGB」は新興メーカーとしての基本に忠実なPCケース設計の良し悪しを見極める“試金石”とも言えるだろう。奇をてらわない分、設計の実直さが問われる部分だ。
ここからは作業中に気づいた点や、構成パーツ搭載後の周辺クリアランスについてもあわせて紹介していきたい。
MicroATX規格のマザーボードを搭載してみる
まずはMicroATX規格のマザーボードを搭載してみよう。テストに使用したのは
MSI「B850M GAMING PLUS WIFI」。ホワイト基板にエメラルドグリーンの差し色を使った、今年5月発売のAMD Socket AM5マザーボードだ。基板サイズは243.84x243.84mm。

搭載方法に特筆すべき点はなく、フロントおよび左側面の強化ガラスを取り外した開放状態から、マザーボードトレイに予め装着されているスタンドオフに、付属品「Motherboard Screws/2.5# SSD Screws」でネジ留めを行えばいい。なおスタンドオフは右縦列2本が不足していたため、付属品から追加している。

なおマザーボード搭載後の周辺クリアランスは、トップパネルまでが約55mm、ボトムパネルまでが約30mm(標準搭載ファン含まず)、右手の強化ガラス製フロントパネルまでは約80mmだった。
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ボトムパネルまで約30mmだが、120mmファンが2基標準装備されているため、マザーボード下部のピンヘッダやUSB 3.0コネクタ等の接続はやや窮屈に感じるかもしれない
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CPUクーラー有効スペースとメンテナンスホール
マザーボードを搭載したところで、CPUクーラーの有効スペースを計測しよう。例によってCPUの上にレーザー距離計を置き、左側面の強化ガラス内側にマーカーを貼り付け、その距離を測った。
CPUクーラーの有効スペースは公称で高さ155mmだが、デジタル表示は160mmを示した。実測値との差+5mmはよくあることで、ある程度の余裕をもった数値が公表されている。とは言え、CPUクーラーの高さは155mm以下を選択しよう。

次にマザーボードトレイ背面に回り込み、CPUクーラーのメンテナンスホール(カットアウト)を計測する。ちなみにMirage 4 ARGBでは、CPUソケット真裏のスペースに2.5/3.5インチ共用のストレージブラケットが装備されている。つまりバックプレートを使ったCPUクーラーを搭載する場合、またはCPUクーラーを換装する場合は、ストレージブラケットを一旦取り外す必要がある事を覚えておきたい。
肝心のカットアウトサイズは、実測で幅約163m、高さ約140mmと標準的で、Socket AM5備え付けのバックプレートは全て露出ができている事を確認した。
電源ユニットを搭載してみる
電源ユニットの搭載テストには、
Antec「GSK850 ATX3.1 White」(2024年11月発売)を用意した。ATX 3.1対応の80PLUS GOLD認証モデルで、PCケースに合わせたホワイト筐体とフルモジュラー式ケーブルで構成。搭載ファンは120mmで、奥行きを140mmのコンパクトなサイズに収めた。
Mirage 4 ARGBでは電源ユニットを縦置きに搭載する設計だが、組み込み作業における特別な難しさはなく、右側面の開口部から電源ユニット本体を挿入し、後方から4本のインチネジでネジ留めすればいい。

電源ユニットの有効スペースは奥行き180mm(ケーブルを含まず)とされ、ここに奥行き140mmの本体を搭載したところで空きスペースは十分に確保できている。念のため計測したところ、空きスペースは約105mmを残していた。マザーボードトレイ背面のスペースに縦置きにするメリットは、モジュラー式ケーブルの抜き挿しが容易にできること。ネジ留めした本体を外す必要がなく、組み込み後でもコネクタを目視しながら作業ができる。ケーブルマネジメント機構もしっかり考慮された製品だけに、グロメット付きスルーホールを軸にケーブルを行き来すれば、配線を極力目立たせない魅せるPCが構築できるだろう。
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右側面から見た際、下部右手にあるスルーホールは、電源ユニットを固定するとアクセスできなくなる。HD Audioケーブルなど、必要な配線は事前に済ませておく必要がある
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