画像にある各ストレージが全ていっぺんに搭載できるワケではないが、システムに合った組み合わせで運用ができる。ここでは限られたスペースに設計の工夫によって多機能化させた、ODDブラケットの使い方をご覧頂こう。
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| 上段の底面には2.5インチSSDが2台並べて固定が可能 | 下段には3.5インチHDDが固定可能。コネクタ向きには注意しよう |
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| 2.5インチSSDx2台と3.5インチHDDx1台の組み合わせでODDブラケットを固定した様子。コネクタはいずれもシャーシ内側に向く格好でマウントする |
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| 上段に3.5インチHDDを固定。下段を先に埋めてしまうとネジ留めができなくなるため、必ず上段から搭載する必要がある | 下段は左右からのネジ固定でもう1台、3.5インチHDDが搭載可能 |
| 3.5インチHDDを上段に固定する場合、3.5″ HDD Mounting RubberとMounting for 3.5″ HDDを使用する |
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| 上段に5.25インチ光学ドライブを固定。この場合下段に3.5インチHDDが固定できる | |
5.25インチ光学ドライブを搭載した状態をチェック。トレイをOPEN(=光学ドライブをイジェクト)にすると、片側にスプリングを備えた光学ドライブベイカバーが開く。
トレイの押し出す力でドライブベイカバーが開放状態になるアクションは簡単だが、close(=光学ドライブを収納)にする際、トレイの底面にある凹凸などに引っ掛からないよう、ドライブベイカバーがスムーズに閉じる必要がある。開閉ベゼル内側のデザインと搭載位置が相まって、はじめて汎用性が確保できる。余談ながら筆者は過去に幾度となく、開閉ベゼルが引っ掛かる事故に遭遇している。
| 前面のFDDを模した化粧パネルの裏に、5.25インチ光学ドライブが隠されている様子。FLP01のシャーシで最も充実したエリアがこの部分だろう |
ここでFLP01が誕生するまでの「紆余曲折」とも言えるエピソードを2つご紹介しよう。このモデルがエイプリルフールネタである事は多くの人が知るところだが、事の発端はSilverStoneの日本STAFFの発案によるもの。日本で入手した中古の筐体を台湾へ送り、本社の開発チームがデザインした事は冒頭でも触れているが、本体のアイボリーとアローラインの色の再現にはかなり苦労したらしい。届けられた中古品の状態も影響したようで、いにしえのOA機器風カラーに近づけるために試作が繰り返されたという。
そして光学ドライブベイカバーの開閉機構では、スムーズな開閉に試行錯誤があったという。一見して些細な事のように思えるが、ベースモデルは約10年前にリリースされた「GD09」で、これに開閉機構は装備されていない。加えてフロントパネルはPC-9801VM2のデザインから大きく変更はできず、既に完成しているベース筐体の光学ドライブベイ位置との微調整もあったのだろう。2023年のプロトタイプ発表から量産モデルの完成まで数年を要した理由は、その辺りにある。
さて、そろそろ本稿もオシマイだが製品としての評価も必要だろう。再三触れてきたことだが、シャーシ自体は「GD09」であり、設計自体の目新しさはない。販売当時の評判について既に記憶がないが、長くHTPCにこだわり続けるSilverStoneとあって、横置きPCケースの"手慣れた感”はある。唯一気になるのは剛性だ。クロスバーは筐体を構成する主要な構造体で、これを外すとたちまち捻れが酷くなる。空の状態が顕著で、マザーボードやグラフィックスカードが補強の役割を果たし、PCが完成するに従い強度が増すといった具合。とはいえ重量5kgを切る筐体だけに、そこは致し方ないだろう。
最後に強度についてSilverStoneに聞いたところ、正式なサポートではないものの、27型クラスの液晶ディスプレイ(5~6kg)であれば天板への設置は問題ないという。40年前の完全再現とばかりに15型ないし17型のCRTディスプレイを載せたい気持ちが湧いてくるが、重量は15~20kgにもおよぶため、"試さない”が正解のようだ。
協力:SilverStone Technology
テックウインド株式会社