BaseLineの設定ではCPU温度、ファン回転数ともまだ余力が十分に残されていたことから、定格動作では最大となるPL1/PL2=250Wに設定される「Intel Default Settings – Performance」での動作も確認しておこう。
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| 定格動作ながらパフォーマンスを重視したプリセット「Intel Default Settings – Performance」でも動作を確認した |
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| 「HWiNFO 64」を確認したところPL1/PL2とも250Wに設定されていた |

Package Powerが230W前後の「OCCT 14.2.6」ではCPU温度は約90℃、250W前後まで上昇する「Cinebench 2024」でもおおむね90~95℃の間で推移し、100℃を超えることは一度もなかった。この結果から、LGA1851に対応するCore Ultra 200Vシリーズの定格運用であれば、ZET5の冷却性能が不足することはないだろう。

またファンの回転数をいずれのテストでも2,000rpm前後、ノイズレベルは43dBA前後でRyzen 9 9950X3Dの結果とほぼ同じになった。
モチーフとなっているジェットエンジン風デザインは完成度が高い。ABS樹脂製カウル上部のマークプリントなどからも、デザイナーは航空機好きなのだろうと想像できる。航空機に興味のない人であっても「エンジンらしきもの」と感じられる仕上がりだ。ただし、その世界観を徹底するのであれば、RGB LEDイルミネーションのギミックはやや中途半端に映る。

好みの問題はさておき、記事全体がイロモノ要素に傾きかけたところで、最終セッションの冷却性能テストでは良好な数値を記録した。もっとも、1万円近い空冷CPUクーラーで性能が伴わなければ論外だが、筆者の予想を裏切る冷却パフォーマンスは、ハイエンド志向のシステム運用にも十分耐えうることが確認できた。 カウルを外せば、そこに見えるのはまさにZALMAN。代表作「CNPS」シリーズで培われた設計思想は今も息づいており、20年以上前の“あの勢い”をリアルタイムで知る者としては、どこか懐かしく、そして嬉しくも感じられる。

ただし欠点もある。デザインを優先したボディゆえに、製品評価の重要なポイントであるメモリスロットのクリアランスが犠牲になっている。CPUに最も近いスロットでは、冷却ファン下のマージンは約30mmしかなく、十分とは言い難い。もっとも、現在主流の2枚挿し運用であれば実害はほぼない。しかし「冷却機器がデザインを重視した結果」という事実から、ネガティブな印象は避けられない。

とはいえ、ZALMANがこれまでハイエンドCPUクーラーで“魅せるCPUクーラー”を作り続けてきた事実は、単なるブランドイメージ戦略ではなく、一定数の熱心なファンの存在によって支えられているからにほかならない。そうした意味で「ZET5」は、往年のZALMANファンにとってまさに“刺さる製品”になったはずだ。
協力:ZALMAN
株式会社アスク