十分な搭載スペースが確保されていることから、CPUの冷却にはオールインワン型水冷ユニットを選択した。搭載テストに用意したのは
Antec「Vortex Lum 360 ARGB White」で、国内市場では2025年1月に発売された。専用RGBコントローラーハブが付属し、主要マザーボードのRGB SYNCに対応する。FLUX Mにはハブが付属しないだけに、コネクタ数の消費を気にせず運用できるワンパッケージ構成は使い勝手がよく、このモデルを選択した理由のひとつになっている。

搭載のしやすさはAIO水冷ユニット側の設計に大半が依存するものの、360mmサイズラジエーター(実サイズ:幅120mm、長さ397mm、厚さ27mm + 冷却ファン厚25mm)のインストール時は、どこかに干渉することもなく、スムーズに作業ができた。またコンパクトな筐体だけに、EPDM高密度チューブもストレスなくレイアウトができていることは、画像からも確認できる。
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| ラジエーターのネジ留めは、トップパネルのネジ穴がスリットタイプだけに、全てのネジ穴が利用できた |
組み込みの最後にグラフィックスカードを搭載してみよう。検証にはNVIDIA「GeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition」を用意した。厚さは61mmの3スロットを占有し、カード長は304mm、幅は137mmとされる。FLUX Mの有効スペースは405mmだけに、数値上では問題なく搭載可能と判断できる。

搭載方法を確認すると、拡張スロット化粧カバーと拡張スロット3段分を外し、固定用インチネジを流用してGeForce RTX 4080 SUPER Founders Editionをマザーボードに装着。しっかり固定ができれば、仕上げに拡張スロット化粧カバーを元に戻せば作業は完了する。

搭載後の周辺クリアランスは、フロント標準の120mmファン(25mm厚)まで約100mmで、十分なクリアランスを確保している。また、ボトムファン(25mm厚)までの距離は約35mmで、この隙間を利用して16ピン(12+4 / 12VHPWR)コネクタケーブルを取り回すことができた。

なお、標準装備品のGPUサポートブラケットは、GeForce RTX 4080 SUPER Founders Editionの高さに合わせ、マザーボードトレイ背面より逆L字型のブラケットを固定した。搭載後に分かったのは、グラフィックスカードの長さが280mm以上でなければGPUサポートブラケットは使用できないこと。この数値以下では、VGAクーラーカバーが届かない。過度の期待は禁物ということだ。 ともあれ、ハイエンドクラスのカードでも余裕を持って搭載できる点は、FLUX Mの大きな強みと言える。
市場想定売価で1万円を切るPCケースといえば、ある程度、どこかに妥協点が生まれるものだ。加えて今回のFLUX Mは、出荷時より6基の120mm PWMファン(うち3基はリバースPWMファン)を備え、追加投資も最小限にできる。個人的にこの好条件がいっそう不安にさせる部分であったが、価格レンジに収める設計思想はAntecのそれであり、バランスよくまとめられている。

ミニタワーPCケースだけに拡張性にやや制限はあるものの、パワーユーザーが必要とするグラフィックスカード有効スペースや、CPUクーラー有効スペース、トップパネルに設けられた最大360mmサイズまでのラジエーターサポートなど、これだけを並べれば、ミドルタワーPCケースとなんら遜色がない。

総じてこのモデルの[○]なところは、FLUXシリーズの一員として、コンパクトながら冷却性能を売りにした、合理的な設計にある。 一方で[×]を探すと、収納力を気にするユーザーには割り切られたストレージ設計が物足りなく感じるかもしれない。ただし、外部ストレージやクラウドストレージなど選択肢はあり、もはやPCケース側だけに依存する考え方は変わりつつあるのだろう。

冷却を軸に設計された堅実なミニタワーPCケース、それもコストパフォーマンスも良好だけに、長く売れ続ける要素は十分に備えていると感じた。
提供:Antec
株式会社リンクスインターナショナル