拡張カードの有効スペースは、フロントパネルに冷却ファンが非搭載の状態で長さ485mmとされている。出荷時よりSickleFlow ARGB 140mmファン(厚さ25mm)が3基標準装備されているので、計算上では460mmが有効スペースということになる。 まず搭載テストには、NVIDIA GeForce RTX 4070 Founders Editionを用意した。全長は約243mmだけに、計算するまでもなく余裕をもって搭載できるはずだ。

搭載手順はシンプルで、必要数の拡張スロット金具を外し、そのインチネジを使いグラフィックスカード側の拡張ブラケットを固定。最後に補助電源ケーブルを接続すれば作業は完了する。なお補助電源ケーブルは、PSUシュラウド天板にある前寄りのスルーホールを利用した。

全長がほぼATX規格マザーボードと同じGeForce RTX 4070 Founders Editionだけに、真横から見ても前方までの距離は十分に確保できている事がわかる。念のため計測すると、残り有効スペースは約215mmだった。 なおオプションで用意される
「Vertical Graphics Card Holder Kit V3」を使えば、グラフィックスカードの垂直マウントもできる。魅せるPC構築では、代表的なドレスアップだけに、カスタマイズを検討してもいいだろう。
| 「Vertical Graphics Card Holder Kit V3」は汎用性の高いグラフィックスカード垂直マウントキット。ホワイト色「Vertical Graphics Card Holder Kit V3 White」もラインナップする |
続いて長尺&重量級グラフィックスカードの垂れ下がりを防止する付属品、
「GPU Support」を使ってみよう。片側をフレーム内周の下部にネジ留め(2本)し、上下スライド調整によりグラフィックスカードの高さに合わせる。グラフィックスカードに接触する部分には円形のゴムが装着されており、約15mm間隔で3箇所から設置ポジションが選択できる。

ご覧の通り、GeForce RTX 4070 Founders Editionは幅が狭くカード長も短いため、円形のゴムの一部しか接触しない。これはそもそも支えが不要という事だろう。実際に目視で歪みや垂れ下がりは無い。 そこで、今度はMSI「GeForce RTX 4080 16GB SUPRIM X」への換装を試みた。3連ファンを備えた「TRI-FROZR 3S」を採用する全長336mmのハイエンドグラフィックスカードで、搭載後のクリアランスはフロントパネル裏手まで約120mmを残している。

さすがに3スロットを占有する大型かつ長尺グラフィックスカードだけに、しっかりとGPU Supportが役割を果たしている。見た目にも安心感があり、PCIスロットへの負担も軽減できているだろう。さすがに重量級グラフィックスカード搭載時は実力を発揮してくれている。
開示された製品情報を見たとき、MasterFrame 600は、まるで有孔ボードを随所に仕込み、使い手の都合に合わせて自由自在にレイアウトできる──そんなまったく新しいコンセプトのPCケースという印象を抱いた。

実際、その印象にかなり近い柔軟性を持っていることは確かだが、現実に自作PCとは、数々の規格や標準に縛られており、それらの制約から大きく逸脱することができない。最低限、そうした決まりごとに従わざるを得ないのが現実だ。フリーレイアウトは一見、とても自由度が高いように思えるが、実際には意外と制約が多いことも知っておくべきだろう。

さて総括だが、MasterFrame 600の[○]なところは、やはり「フリーレイアウト」に尽きるだろう。細かい点を挙げれば改良の余地はたくさんあるものの、大いなる可能性を秘めている事は間違いない。Cooler Masterが理想とするオプションパーツが揃えば、剛性に優れたアルミニウム製フレームをベースに、これまでに例のないカスタマイズが楽しめる。

そして「×」というより「△」と評価すべきなのは、理想とするオプションパーツを継続して入手できる体制が確立できるか否かだ。 熱心な自作派であれば、MasterFrame 600が提唱するスタイルを好意的に受け止めてくれるだろう。しかし、国内市場での入手性や、それに見合う価格でなければ、多くのユーザーは理想の形を追いかけることはないはずだ。

今から10年前、COMPUTEX TAIPEI 2015においてCooler Masterは自由なカスタマイズを可能にする「FreeFormモジュラーシステム」を発表した。そして、好みに応じて内部構造を変更できる
「MasterCase 5」を市場に投入。オプションパーツを活用し、自分だけのオリジナルPCケースを作り上げるという発想は、今回のMasterFrame 600とかなりの共通点がある。しかし、当時の取り組みは必ずしも成功したとは言いがたく、その難しさをCooler Master自身が痛感しているはずだ。 MasterFrame 600は、言わばその再チャレンジとも言えるだろう。もし本当に思い描く理想のカタチをゴールに据えるなら、現状はまだようやくスタートラインに立った段階ではないだろうか。
提供:Cooler Master株式会社