ストレステストで冷却性能&動作音を検証する
デュアル水冷構成を詰め込んだ「Lepton Hydro WSB850A Cube」が優れた冷却性能を備えていることは、先ほどの耐久テストでも把握できた。ここではCPUおよびGPUのストレステストを実行しつつ、その際の動作音をチェック。”ブン回した”際にどのような挙動を示すのかを見ていこう。
なお、CPUの検証には「Cinebench 2024:Minimum Test Duration:30 minutes」、グラフィックスカード用には「3DMark Steel Nomad Stress Test」を使用している。(室温26℃)
240mmラジエーター水冷で冷却されるRyzen 9 9950Xは、最大クロックが5,505MHz、平均4,696MHzで安定して動作しており、動作温度も86℃前後を維持できていた。特に温度はブレ幅が少なく、”詰め込み系”とは思えない優れた冷却性能が実感できた。
そしてGPUの方は、公称ブーストクロックを大きく上回る最大2,820MHzまでクロックが上昇し、しかも持続力もバッチリという良好な結果に。温度は最大82℃、平均約76℃としっかりGPUの発熱を抑え込めている。オリジナル水冷仕様の冷却システムが想定通りに機能している証だ。
なお、騒音値はアイドル時で33.9dBと、この状態では各種パーツの動作音もほとんど聞こえず、水冷特有のポンプ音も気にならなかった。
しかし高負荷時にはそれぞれの水冷ユニットに組み込まれたファンが勇ましく動作することもあり、59.6dBとかなりの騒音が発生。コンパクト筐体の構成を冷やし切るためにしっかり冷却システムが動作している証拠ではあるものの、静音を期待するマシンでない点は覚えておく必要があるだろう。
「Lepton Hydro WSB850A Cube」の消費電力
最後は「Lepton Hydro WSB850A Cube」の動作中における消費電力をチェックし、各種検証を締めくくろう。ストレステストの「3DMark Steel Nomad Stress Test」を動作させた際を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時として、それぞれワットチェッカーで計測を行った。
ハイエンド構成とあってアイドル時も90Wとそこそこの数値をマークしているが、高負荷時は700Wに迫る最大685Wで動作。しかし1000Wの電源ユニットがチョイスされていることもあり、システム負荷率は70%以下でまだ余裕がある。長期間の運用で多少電源ユニットがヘタってしまったとしても、不安定になる心配はなさそうだ。
いま手に入る最強のコンパクトデュアル水冷マシン
GeForce RTX 50シリーズの水冷化が難航しリリースに時間がかかったこともあり、サイコム内部でも「発売が遅すぎたのでは」と気にする声があったという。しかし結果は杞憂だったようで、GeForce RTX 50シリーズのデュアル水冷モデルは、現在でも生産が追いつかないレベルで好調に売れているようだ。GPUの世代ごとに必ず水冷化を実現してきた信頼からか、やはり待っていた人は多かったらしい。
さらに同社の担当者いわく「ハイエンドでも小さくしたいというニーズは着実に増えていて、加えて安定した冷却を望む層にはデュアル水冷が刺さっている」とのこと。そうしたコンセプトにピタリとハマる最新モデルこそ、今回検証を進めてきた「Lepton Hydro WSB850A Cube」というわけだ。
単に筐体の大きさだけを語るなら「コンパクト」というワードは語弊があるかもしれないが、内部にウルトラハイエンド構成を収めたハイパワーマシンであることを考慮すれば、その”凝縮さ加減”はかなりのレベル。大型のグラフィックスカードに加え2つのラジエーターをギュウギュウに詰め込みつつ、エアフローの交通整理までしっかり考えられている。
個人レベルでは不可能なロマンを追求しながら、CPU・GPUともに最大級のパフォーマンスを引き出せる確かな実力。長時間のヘビーな負荷でも揺るがないタフさも備えている。このサイズ感でこれらの魅力が全部手に入るなら、多少ヤンチャな動作音も気にならないのかもしれない。
提供:株式会社サイコム