2024年7月、Noctuaがリリースしたサイドフロー型CPUクーラー「NH-D15 G2」をエルミタージュ秋葉原では徹底検証した。空冷最強の異名を誇るブランドの最新ハイエンドモデルらしく、その冷却性能は申し分なく、空冷クーラーの一つの到達点であることを改めて確認している。
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| Noctua「NH-D15 G2」シリーズ。受熱ベースプレートの違いにより計3種類が用意されている |
すでに“これ以上語る必要はない”と感じる完成度であり、エルミタ的にも再び取り上げる予定はなかった。しかしこのほど、全身黒ずくめのバリエーションモデル
「NH-D15 G2 chromax.black」がリリースされ、編集部には評価サンプルが到着した。そこで今回は、あえてもう一度本製品に触れることにした。
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| 「NH-D15 G2」とバリエーションモデル「NH-D15 G2 chromax.black」のパッケージ比較 |
とはいえ、冒頭でも触れたとおり、冷却性能について改めて深掘りする必要はないという立場は変わらない。本稿で焦点を当てるのは、Noctuaがこの完成されたCPUクーラーにブラック色を追加した、その理由だ。
まず「chromax」シリーズについて振り返っておこう。Noctuaのアイデンティティとも言えるベージュとブラウンの配色をあえて捨て、「chromax」シリーズを立ち上げたのは2017年10月のことだ。
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| Noctuaの新たな展開として注目された「Chromax」シリーズ。現在は形を変え、ブラック色での展開に落ちついている | |
当時の記事を振り返ると、chromaxは“ドレスアップパーツ”として位置付けられていた。交換用カラー防振パッド(レッド、ホワイト、ブルー、グリーン、イエロー、ブラック)をバンドルした冷却ファン「Chromax fans」や、CPUクーラー「NH-U12S」「NH-D15(S)」シリーズ向けのアルミニウム製ドレスアップカバー「Chromax heatsink covers」など、ラインナップはいずれも視覚的な変化を前面に押し出したものだった。当時は、こうした展開に対して「Noctuaらしさとは少し違う」と感じた読者も少なくなかったはずだ。
(2017.10.17 02:47)
その後、chromaxシリーズはカラフルな方向性から一転し、ブラックカラーに軸足を移していく。現在では、Noctuaカラーの通常モデルを先行させ、後発で「chromax.black」を用意するというパターンが定着した。結果としてchromax.blackは、“Noctuaらしくない選択肢”ではなく、“Noctuaらしさを保ったまま選択肢を広げるための存在”として受け入れられている。
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| NH-D15 G2 chromax.blackのパッケージ。外形寸法はNH-D15 G2とまったく同じだった |
紆余曲折の末に、現在の形に落ち着いたchromax.black。ここでは、このchromax.blackという選択肢が持つ意味を整理してみたい。ブランドを大切に育て上げてきたNoctuaが、コーポレートカラーとは異なる製品を用意するという事実は、単にカラーバリエーションを増やした、という話ではない。
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| 2025年11月19日のグローバルリリースで発表された「NH-D15 G2 chromax.black」 製品情報(Noctua) |
Noctuaが多様化する自作PC市場に歩み寄りつつ、ブラック色化によって得られた“PCケース選択の自由”をユーザーに提供する。そして同時に、冷却性能に絶対的な自信があるからこそ、外観で必要以上に主張しない。chromax.blackは、そうした判断の積み重ねによって生まれた選択肢であり、その姿勢そのものがNoctuaの成熟を物語っている。
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| 冷却ファン「NF-A14x25r G2」は「NF-A14」の後継となる第2世代モデルだ |
実際にPCケースに組み込んでみよう。近年の自作PC市場では、ピラーレスデザインのPCケースが主流となっている。フロントから左サイドまで広く内部を見せるパノラマビュー構造が一般的で、構成パーツもイルミネーション機能を備えたものが多く、ドレスアップ要素が強く意識されている。
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| マザーボードへの組み込みに必要な付属品「NM-IMB3 mounting bars」「NM-AMB14a/NM-AMB14b mounting bar」もブラック色で統一されている |
そうしたトレンドの中に置くと、NH-D15 G2 chromax.blackは一見すると時代に逆行しているようにも見える。しかし、組み込みを終えた姿は重厚で、冷却機器としての役割に徹した佇まいが、結果として高い信頼感につながっている。

今回の搭載テストには、CORSAIR「FLAME 4500X LX-R RGB iCE LINK」(型番:CC-9011316-WW)を使用した。曲面強化ガラスパネルを採用した、いわゆる“魅せる”タイプのPCケースだが、存在を主張しないことで逆にガラス越しに際立つという見え方は、chromax.blackが狙った方向性そのものだ。この環境に限って言えば、従来のNoctuaカラーよりも、精悍なブラックの方が明らかにマッチしている。

ここまで、NH-D15 G2 chromax.blackの存在意義をエルミタなりに整理してきた。無印NH-D15 G2との違いは外観のみとはいえ、ブラック塗装によって冷却性能が犠牲になっていないかどうかは確認しておきたい。そこで今回は、従来よりも簡易的ながら冷却テストを実施することにした。