ここでは「Antec Flux Pro Noctua Edition」の冷却性能をみていこう。なお、この製品についてはNoctuaによる検証データが公開されており、本稿では同社の許諾を得たうえでグラフを引用している。

Noctuaによるテスト環境は計2パターン。1つ目は600Wクラスの発熱を想定したGPU(GeForce RTX 5090相当)、2つ目は450WクラスのGPU(OC済みGeForce RTX 5080または定格動作のGeForce RTX 4090)を使用している。CPUは共通でAMD Ryzen 9 9950Xを200W固定とし、ケースファンを50%~100%まで変化させながら、CPU温度、GPU温度、騒音値を計測している。 このハードウェア構成により、「FLUX PRO」標準構成と「Antec Flux Pro Noctua Edition」でPCケースとしての冷却性能を比較している。これらの検証では、騒音レベルとCPU温度の関係を可視化することで、Noctuaによるチューニングがどのような効果をもたらしているのかが示されている。
まず注目したいのが、PCケース周囲7方向から測定された音響指向性だ。ファン回転数50%、75%、100%の各条件において、「Antec Flux Pro Noctua Edition」と標準構成の騒音分布を比較している。

ファン速度50%時をみると、「Antec Flux Pro Noctua Edition」は7つの測定確度全てで約5dBAの平均改善、最大6dBAの静音化に成功している。 ファン速度75%時をみると、正面からの測定で「Antec Flux Pro Noctua Edition」が約1.5dBA静かという結果となり、側面からの測定でも1dBA未満の僅かな差ではあるものの、静音性が保たれている。 ファン速度100%時をみると、正面からの測定で両者はほぼ同等。それ以外は標準構成が最大で約0.7dBA静かという結果だった。「FLUX PRO」の静音性が高いことが分かる一方で、高負荷時には「Antec Flux Pro Noctua Edition」が僅かな音の違いを大きな冷却性能が補っていることが分かる。
次に高負荷環境における温度と騒音の関係を比較。テスト環境構成は、AMD Ryzen 9 9950XにNoctua「NH-D15 G2」を搭載。マザーボードはASUS「ProArt X670E-CREATOR WIFI」で、グラフィックスカードにGIGABYTE「RTX 4090 GAMING OC」、メモリにTeam「DDR5 32GB 600MHz CL38、電源ユニットにSeasonic「Prime TX-1000」が使用されている。
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| Noctua Edition(緑)は標準構成(青)より低い騒音レベルで同等、またはそれ以上の冷却性能を示している |
高負荷環境での比較では、Noctua Editionが標準構成よりも有利な傾向を示している。グラフを見ると、同じ温度条件においてNoctua Editionのほうが騒音レベルが低く、より優れた「Performance-to-noise(性能対騒音)」バランスを実現していることが分かる。具体的にはCPUが2.5~4.5℃、GPUは1~2℃の差が確認できる。 さらに静音性は、CPU温度が同じ場合で3.5~6dBA、GPU温度が同じ場合で6.5~8.5dBAの騒音値低減が実現できている。これは回転数の異なるファンを組み合わせた構成や、ケース全体のエアフロー最適化による効果と考えられる。
一般的な使用環境(Regular scenario)における性能対騒音比較をみていこう。ここではAMD Ryzen 9 9950Xを200Wで動作。GeForce RTX 4090の発熱を450W想定とした条件でも、Antec Flux Pro Noctua Editionは低速回転時でアドバンテージを発揮。同じ騒音レベルでCPU温度は最大6℃、GPU温度は最大1.5℃の低下がみられ、低騒音領域でより効率的な冷却性能が得られていることが分かる。

低~中負荷領域では、騒音を抑えながら効率的に熱を処理できる点が特徴で、これは静音PCを志向するユーザーにとって大きなメリットと言えるだろう。ひとつ付け加えると、最大回転時では標準構成でも十分な冷却効果があり、Antec Flux Pro Noctua Editionの冷却性能はCPUで2℃、騒音値は3.5dBAの低下、さらにGPUはほぼ同等の結果に留められている。「FLUX PRO」の冷却性能も決して低いものではないことが言える。

こうしたデータからも分かるように、「Antec Flux Pro Noctua Edition」は単にNoctuaファンを搭載したモデルではなく、ケース全体のエアフロー設計を含めて最適化されていることが分かる。検証を通し、グラフィックスカードなど600W以上の高発熱パーツを使用した場合において、高負荷環境において静音性と冷却性能で大きなメリットがある事を示している。