空冷CPUクーラー製造の起点、ヒートパイプ工程
メインエントランスを抜け、いよいよ工場内部へ進んでいく。今回、取材班を案内してくれたのは、Elvis Liu氏(Head of Sales & Marketing)、Rebecca Yan氏(Head of Retail Business)、Kelsey氏(PR Specialist)、Linus Yang氏(Product Manager)の4名だ。いずれもPCパーツの知識が豊富で、日本市場にも精通したスタッフたちである。
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案内役として同行してくれたID-COOLINGのスタッフ。左からKelsey氏、Elvis氏、Rebecca氏、Linus氏
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まず最初に向かったのは、空冷CPUクーラーの製造に欠かせないヒートパイプの工程だ。このセクションでは、熱電対を用いてヒートパイプ内部の熱移動が正常に行われているかをチェックしていく。山積みになった銅製ヒートパイプを、1本ずつ手に取りながら入念に検査する様子が印象的だった。
なおID-COOLINGでは、先ほど触れたようにヒートパイプ専用の製造工場を中国・湖南省にも構えている。そちらでは、パイプのカットから先端加工、作動液の注入、シーリング、さらに180℃環境でのエイジング処理まで、すべての工程がオートメーション化されている。曲げ加工を施したヒートパイプは、熱移動の動作テストを経た後、検査を経て深センの本社工場へと送られてくる。完成までの工程は、動画でも確認可能だ。
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湖南省で製造されるヒートパイプは全数検査を完了した状態で本社の深セン工場に送られてくる
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精密さが要求されるベースプレートの研磨作業
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コンピューター数値制御(CNC)により工具を自動的に交換しながら、穴あけ、平面削り、ねじ立てなど複数の切削加工を1台で連続して行えるCNCマシニングセンタ
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続いて案内されたのは、CPUクーラーの冷却性能を左右するベースプレートとヒートパイプの組み付け工程だ。まずは、ずらりと並ぶCNCマシニングセンタを使い、ベースプレートにヒートパイプを通すための溝を加工していく。ヒートパイプの太さや本数に応じて、ベースプレートが次々と作成されていく。
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溝加工が施されたベースプレート部分
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加工後は、デジタルダイヤルゲージを用いて、ヒートパイプが正確にフィットするかを測定。ベースプレートとヒートシンクを固定するための穴あけ加工も行われていた。
溝加工を終えたベースプレートは、専用の研磨機で表面を仕上げていく。高速回転させたベースプレートに切削油をかけながら研磨し、平面精度を高めつつCDテクスチャ加工を施す工程だ。
見た目の美しさだけでなく、CPUとの隙間を極力をなくし、熱伝導効率を確保することが目的となる。その後、測定器にセットして、表面の粗さをチェックしたところ、測定値は0.246ミクロン。極めて高精度な加工が施されていることが分かる。
Elvis氏によると「過去のID-COOLING製CPUクーラーのベースプレートは、Intel製CPUに合わせてわずかに凸形状としていた。しかし、現在はAMD Ryzenの人気が高まっているため、ベースプレートは完全な平面になるよう調整している」という。