CPUクーラーには、360mmサイズのラジエーターを備えるオールインワン型水冷ユニット、
Fractal Design「Lumen S36 V2」(型番:FD-W-L1-S3601)を使用した。2023年に販売がスタートしたモデルで、ラジエーターにはLED非搭載の「Aspect 12 PWM」ファンを3基装備。ウォーターブロックにはアドレサブルRGBを内蔵し、4,000rpm±10%のポンプをラジエーター側に内蔵する点が特徴だ。

Epoch XLではフロント側に標準ファンが搭載されているため、ラジエーターの設置先としてはトップパネルを選択するユーザーがほとんどだろう。今回の検証でも、360mmサイズのラジエーターをトップパネルに固定している。

トップパネル自体に着脱機構は用意されていないものの、内部容積に余裕があるため、ネジ留め作業はストレスなくスムーズに行えた。そして、ネジ穴はスリットタイプとなっており、ラジエーターの固定位置を微調整できるほか、今回はすべてのネジ穴を使用することができた。 なお、ラジエーターとマザーボードとの距離も十分に確保されており、固定後であっても、マザーボード上部の各種コネクタに対するケーブルの抜き挿し作業は問題なく行えるだろう。

また、ポンプをラジエーター側に内蔵する構造のため、ウォーターブロックは背が低く、非常にコンパクトに収まっていることが画像からも確認できる。軽量化にも寄与しており、CPUへの固定作業も比較的楽に進めることができた。
最後に、グラフィックスカードを搭載してみよう。搭載テストには、NVIDIAのハイエンドモデル「GeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition」を用意した。カード長は304mm、幅は137mm、厚さは61mmで、3スロットを占有する大型グラフィックスカードだ。

Epoch XLのグラフィックスカード有効スペースは公称425mm。ハイエンドモデルであるGeForce RTX 4080 SUPER Founders Editionを搭載しても、カード自体がコンパクトに見えるほど内部には余裕がある。実際にクリアランスを計測すると、フロントパネル裏まで約120mmの空間を確保していた。

この数値は公称値とも概ね一致しており、現行のコンシューマ向けグラフィックスカードであれば、サイズ面で制約を受けるケースはほとんどないだろう。
ミドルタワー「Epoch」に続き、兄弟モデルとなるフルタワー「Epoch XL」も検証した結果、数値上の違いは一見地味ながら、冷却性能、拡張性、組み込みやすさといった“余白”の部分は、確実に別物であることを実感した。デザイン言語自体は両モデルともFractalの一貫性を強く感じさせるが、大型化によるいわゆる“大味さ”は感じられない。

これらを簡潔に言い表すと、Epochは“Fractalらしいバランスのいい王道ミドルタワー”、Epoch XLは“その思想を大きく育てたフルタワー版”と言えるだろう。両者は似て非なる用途で成立しており、単なる「サイズ違い」以上の使い勝手と、明確な選択理由を備えている。

ことさらフルタワーPCケースだからといって、ビッグスケールな構成パーツを選ぶ必要はない。ミドルタワーと同じ構成を、より余裕をもって組み込めるという点こそが、Epoch XLの最大の強みとして高く評価できる[○]な部分だ。

一方で、明確に[×]な要素は見当たらない。工作精度の高さや各部の仕上がりは、いずれもFractalらしく非常に安定しており、総じてそつのない完成度にまとめられている。 総合的な印象としては、Epochが“しなやかで軽快なスポーツセダン”であるのに対し、Epoch XLは“余裕の排気量でゆったりと走るグランドツアラー”といったところだろう。2025年を締めくくるにふさわしい、完成度の高いPCケースに触れることができた。
提供:Fractal Design
株式会社アスク